越境ECにおいて売上も利益も上がっていく状態にすることが求められていますが、越境ECをスタートさせていきなりそのような状態にはなりません。そして最初から売上も利益も欲しいと思うことが、越境ECの失敗の要因の1つにもなっているのではないか、とこの頃多くの方からの相談にのっていく中で思うようになりました。
まず日本で販売しているものをそのまま売りたい、という実態が多いこと。リスクや初期投資を極力少なくしたいのは大いに分かるところですが、売れなければ意味がありません。利益が出るような販売価格設定や利益率設定になっていることも売れない1つの要因になっていることも多々あります。
どちらも自分たちにとって都合の良いようになったらいいな、という希望的観測からスタートしています。越境ECを成功させるためのステップとしては次の4つのステージに分けて考えて、最終目的に辿り着くイメージを持っていただいた方がロングスパンで見ると良い結果をもたらすことが出来るように感じております。
越境ECを始めるなら、このステージからスタートすることをオススメしております。利益が出ないことをやるのか?という声が聞こえてきそうですが、先行投資です。最終的な利益フェーズにいくまでの通過点です。自分たちの作っている商品、売りたい商品でニーズが顕在化している国に売りましょう。そして予算感は現地のマーケットに合わせていくのです。
そうすることで、その国の商習慣やライフスタイル、何を価値として購入の意思決定を決めているのか、などリアルな肌感覚としてノウハウが蓄積されていきます。
もう1グレード予算を高くするなら、こういうことをしないといけないな、ということも分かってきます。(日本の販売者様はいきなり高く価格設定して、なぜ売れないのかが掴めないケースが多いのです)
配送関連や商品撮影、キーワード設定の仕方、お客様対応などもここで学べます。しかもすぐに成果や結果が分かりますので、PDCAが回しやすいので経験が積めます。
ただしここのステージのデメリットは競争が激しくなることと、利益が出にくいことです。いかにこのステージで早く多く経験を積み、次のステージにいけるのかがポイントになります。
売りやすくて利益が出るステージは先ほどのステップ1のステージの企業様でモノづくりに長けている企業が取り組むべきステージです。もしくは元々モノづくりをしている企業様もここに当てはまります。
ただモノづくりをしているメーカー様で多いのは、自社の商品はすでに作ってあって、コレを売りたい!どの国だったら売れるのか、どうやったら売れるのか、という考え方です。これでは売れません。現地ニーズと自社の強みや特徴を掛け合わせないといけません。ですので、モノづくりをしているメーカー様でもステップ1の経験やノウハウを得やすいところからスタートする方が結局は早く成果が出ます。
さて、このステージで多いのは売れている商品のOEM化をして利益率を上げることです。ロットを多くする、オリジナルカラーを出す、少し仕様変更してもらう、など色んな取り組みをしながら、ニーズが顕在化しているところに少しばかりの価値を足すわけですね。
モノづくり企業様でしたら、たくさんのお客様の声を聞いて、自社のスキルやノウハウで付加価値を付けていくのがこのステージです。
このステップはステップ1の企業でモノづくりは不得意だけど、プロモーションやマーケティングの方が得意だという企業様が進まれるステップです。ステップ1で多くのお客様と接していく中でどのようなものが売れるのか、を分析し提案する力がある企業様です。
今はまだ売れていないけど、売れるかもしれないという嗅覚が研ぎ澄まされていきますので、やはりステップ1での経験とノウハウが必要なのですね。あとはお客様との関係性を築いていると、お客様からこのようなものが欲しいという提案を受けることも多くあります。それを1つ1つ実現していきながら、商材付加や予算帯を広げる、などをして魅力あるお店になっていくのです。
デメリットは売りにくい商品やまだニーズが潜在的なものである可能性が高いので、時間とお金には余裕を持っていなければなりません。ここでじっくりと取り組まれている企業様はなかなか他社から真似されにくい差別化要素がある企業になれます。
モノづくりが得意な企業様はステップ2へ。売るのが得意な企業様はステップ3へ。どちらもステップ1がベースにあった上で、次の展開をしていきます。
そしてステップ2やステップ3がうまくいきだした時に起こる問題を先にお伝えしておきます。
今までの競合ではないところから競合が現れます。特に日本企業ではなく、他国で越境ECを取り組んでいる企業が圧倒的なスピードとパワーで競争に加わってきます。
例えば、何か売れそうな物が作れて、ようやく売れてきた、となって瞬間に他国の企業でモノづくりが得意なところが同じようなものを3割低い価格でやってくるというのは常に考えておいた方がいいですね。
オリジナリティやブランディングの要素も含まれてくる段階になります。一定の認知度もあり、何かプロモーションや新商品を投入した時に反応がある、という段階です。
お客様が商品ではなく、自社に付いてきた、というステップになります。商品を探して色んなショップと比べられるというところから自社の中で何かを買ってくれる、という状態です。今越境ECを始めて、なかなか売上が上がらないという企業のほとんどはいきなりこのステージからやろうとしているのです。
売りにくい商品や海外の人がほとんど知らないような商品なのに高い価格で販売している。経験やノウハウやお客様との関係性があってこのステージは成り立つものであることを再認識した方がいいと思います。
このステップにきた企業様が取り組まないといけないのは、なんで自社にお客様が付いているのかを明確にし、その点だけは他社に絶対に負けないということです。お客様のニーズを知り、自社の強みを活かし、継続的にこの流れが滞らないような仕組みやシステムを構築することです。そして何よりも、現地の人(顧客)の視点から物事を考え続けることをするマインドとアクションが大事なのです。