2018年までのここ数年間、世界的に大手企業によるベンチャー企業の買収や、スタートアップ企業に対するベンチャーキャピタルによる投資は活気づいてきました。最も有力な買い手の大手企業によりIT業界には相関図ができあがるほどのグローバルM&Aが繰り返されました。
http://www.visualcapitalist.com/wp-content/uploads/2018/03/who-owns-who.html
しかしこの勢いは2019年前半には米国や欧州では少し弱まるという予測がされています。米国内での貿易や関税対策に対する不安定な政策、欧州における英国のEU離脱後の経済不安などがその理由として挙げられらています。(参考記事)
ただしこれは今までイニシアティブを握っていた世界企業による大規模なM&Aに対する予測であり、アジア圏内、中小企業間でのM&Aはさらに活発になるとも予測されています。
これまでEC業界でも様々なビジネスモデルやサービスを提供する会社が出現し、市場を賑わせて競争をしてきました。
しかし 徐々に市場は飽和状態になりつつあり、近頃は大手企業による買収や提携、または資金調達によって事業拡大に加速をつけて競争から抜け出る方法を探る企業も多くなっています。
2017年には過去最高の記録を達成したことで大きな注目を集めています。注目すべきは、ペット商材のオンライン小売業のスタートアップ会社Chewy.comが、ペット商材産業の実店舗数を多くもつPetSmartの傘下に33.5億ドルで入る買収に合意したことです。
このM&Aはあきらかに実店舗を展開する大手企業に対し、Eコマース企業のデジタル戦略と集客率を提供する買収のかたちです。ほかにもWalmartによるオンラインアパレルブランドhttps://bonobos.com/や靴のEコマースサイトhttps://www.shoes.com/などの買収も、そのデジタル戦略や集客を狙った例といえるでしょう。
また大手ドラッグストアのWalgreenが買収したhttps://www.birchbox.com/は、化粧品のサンプリングを定期購買する新しいサービスモデルを提供しており、現在全米各所にあるWalgreenの店舗内ではBirthboxのデジタル技術とサービスを通して、既存の顧客に対して新しい化粧品ブランドを試す機会や、オムニチャンネル化を図ることでさらに快適なショッピング体験を提供することを実践しています。
このように各国内での合併買収や資金調達が活発になると、その対象はクロスボーダー(越境)M&Aにもおよんできます。
越境EC企業がその販路の拡大、サービスを充実するために越境先国での競合する会社の買収や同じサービス領域の会社支援により多領域への展開を進めていくことが期待されています。