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カスタムオーダーEC

既製品ではないカスタムオーダーへ

大手ブランド企業からネットショップに至るまで「カスタマイズ」が普及してきています。消費ニーズが多様化し、テクノロジーも進化したためにカスタムへの動きが活発化しています。

「カスタマイズ」とはユーザーの好みや使い勝手に合わせて、見た目や機能、構成といった製品の仕様を変更することを意味するIT用語ですが、ここではオーダーメイド、カスタムオーダーといった意味合いも含んでお話します。

オーダーメイドやカスタムオーダーをECで受注して、生産現場と繋ぎ、短納期低コストでカスタマイズが出来るようになってきています。

カスタマイズという概念と取り組み

実は「カスタマイズ」は新しい概念ではありません。

大量生産大量消費時代の既製品(レディ・メイド)以前の時代では、木材を買ってきては家具や家を作り、靴や衣服はサイズを測って自分に合うものを作って、いわば「カスタマイズ」していました。

近年には「断捨離」という言葉に反映されるように、消費者は画一的な既製品に飽き、自分に合う自分のためのモノやサービスに価値を見直し出しています。

とはいっても、いちから全てを作ることは手間と時間とお金がかかりすぎて、今の時代の消費者には受け入れられません。

ところがインターネットや3Dプリンターなど、現在のテクノロジーの進化により、これまでの作業工程が見直され、いままでは採算が合わなかったカスタマイズ製品の提供がどんどんと実現できるようになってきています。

数年前からナイキやアディダスなどの大手ブランドは、カスタムデザインのシューズを提供するために歩みを進めています。日本でも老舗紳士服メーカーがスーツのカスタムオーダーを低価格で簡単に購入できるサイトをオープンしていたりチャレンジが続いています。

そして近年ではスマホアプリを利用してさらにカスタマイズを進化させているベンチャー企業も数多くあります。

カスタムオーダーECの事例

Revols:
スマートフォンアプリから作成されるカスタムメイドのイヤホン。
商品が届くとイヤホンを耳に差しこみ、アプリに従って操作すると、1分間でそのイヤホンが耳の形状のフィットする形状に変わる製品。またその性能をアプリでコントロールできる。

Wiivv:
インソール(靴の中敷き)でカスタムフィットを可能にする。これまでのように店舗に計測しにいかなくても、自宅でスマホアプリを使って足の形状を計測してカスタマイズができる。
これらのカスタムフィット製品とよばれる、個体ごとにカスタマイズされている製品への需要が高まっています。

パーソナライゼーション

ではこういったオンラインサービスが小売店舗への顧客の呼び込みを妨げることにつながるでしょうか?

実はその反対で、オンラインで得れる顧客の細かい情報を収集し分析することによって、小売業者は顧客の身体タイプ、ライフスタイル、嗜好、予算などをふまえた上で、個人的なショッピング体験を店舗で提供するようにできます。

このパーソナライゼーションは、店内の顧客体験を向上させ、顧客にとって最高のサービスと製品を提供することを可能にします。

いかに多くの顧客データーを集め、いかに早くにデジタルテクノロジーで分析し、いかに正確に顧客ごとにカスタマイズされた価値の高い製品とサービスを提供し、いかにユニークな仕掛けで顧客を店舗に呼び寄せることができるか。

小売業のマーケティングの無限の可能性はいかにこの仕組みを早く現実化できるかにかかっているでしょう。

越境での可能性

カスタムオーダーというのは1人1人のニーズを満たすものになります。そこでは国ごととか年収などこれまでのセグメントされてきた物差しではない個へのアプローチが必要になります。

ここの概念がうまく掴めると国境という概念で商売やECをやるのではなく、どこにいても、その人に対してベストな商品を提供することが出来るようになります。

日本向けのサービスとして、カスタムオーダーのワイシャツのECを取り組んでいるのはタイの会社だったりします。BtoBで国境を越えて商品を提供してきた、モノづくりの現場からECを通じてビジネスが成り立つようになってきています。

差別化や利益率の向上という越境ECでの課題もカスタムオーダーECが解決してくれる1つの可能性を感じさせてくれます。

Mitsutoshi Murata

株式会社プリンシプル 代表取締役 船井総合研究所WEBコンサルティングチーム コンサルタント、チームリーダーを経て、2013年、株式会社プリンシプルを設立。メンズの総合セレクトショップ フリースピリッツ立上げ。2014年より越境EC事業を開始し、2016年、越境ECが全体の売上構成比20%に成長