中国ECの注目ポイント(注目事例)
中国ECの現状
これからの中国ECの動向を読むためには、WeChat Mini programに代表されるようなソーシャルコマース運用の流れに乗り遅れないようにしないといけません。
「WeChat」は中国名で微信(ウェイシン)と呼ばれる、月間利用者数が10億9800万人(2018年)を誇る中国最大のSNSプラットフォームです。運営会社は騰訊(テンセント)という、世界最大級のゲーム、アプリ開発を展開するIT事業会社です。
WeChat Mini Program
2017年1月にテンセントによって開始されたWeChat Mini Programは、その多様な機能と大規模なユーザーベースにより、中国でビジネスを行う高級ブランドの必須アイテムになりました。 リサーチ企業のGartner L2によると、中国のファッションブランドの約70%が現在、少なくとも1つのMini Programを展開しています。
Mini Programの新しい機能は、WeChatアプリを終了せずにシームレスにアクセスしてプログラムを使用することを可能にしました。つまりアプリの中でさらにアプリを開くといった具合です。
別のアプリをわざわざダウンロードをしたり、他のサイトを開いたりせずに, ユーザーはWeChatのアプリ内でMIni programを使用して映画のチケットを予約したり、食べ物の配達を注文したりしており、小売業者が顧客を引き付けるためのますます重要なチャネルとなっています。
HFP / HomeFacialPro の事例
HFP https://www.homefacialpro.com/
参考記事:https://mp.weixin.qq.com/s/I_T1SqHBG3T4eEAJuUINzA
WeChatは、独自の公式WeChatミニプログラムストアおよび公式アカウント(コンテンツマーケティングチャネル)を設定できるため、ブランドの存在感を構築する上で重要な役割を果たします。 HFPのWeChat公式アカウントには現在、100万人以上のフォロワーがいます。
HFPは公式アカウントを通じて、新製品、今後のオフラインイベント、最新のプロモーションを顧客に通知できます。 さらに、公式アカウントのコンテンツは、ユーザーを製品ページに誘導するミニプログラムストアリンクを直接挿入できるため、販売プロセスを活性化できます。
HFPが新しいフォロワーへ送信するメッセージには、WeChatミニプログラムストア内の製品のランディングページへのリンクが埋め込まれています。
公式アカウントのHFPのコンテンツのほとんどには、このようなミニプログラムリンクが含まれています。戦略は、各公式記事にリンクを配置することでトラフィックを促進することです。新製品、トップセラー、または特にターゲットを絞ったコンテンツに関するリンクです。
HFPのセレブ&KOL(Key Opinion Leader)マーケティング
HFPは、さまざまなWeChat公式アカウントと提携してブランドを構築しました。有名人、KOL(主要なオピニオンリーダー、またはインフルエンサー)、および美容/スキンケアブログに属していました。
2016年3月から2018年8月まで、HFPは1,428の異なる公式アカウントとの関係を構築し、6,247の異なるコンテンツ投稿を一緒に投稿しました。
HFPのソーシャルコマースキャンペーン
ミニプログラムは、WeChatのソーシャルコマース機能も活用します。 WeChatを使用すると、エコシステム内でコンテンツや製品を共有できるため、ソーシャルネットワーク上に共通の興味をもつユーザーが繋がることで、顧客獲得プロセスを迅速に拡大できる可能性があります。
中国の消費者は、Eコマースのプロモーションはアイテムを友人や家族と共有する可能性が高いことが社会的性質としてあります。
そのためWeChatはフォロワーにグループ購入を強調するプロモーションメッセージをプッシュし、顧客は家族や友人を誘って参加するよう奨励されます。
Mini programではグループ購入による割引が受けれるように設定されています。
またレビューやコンテンツを投稿するユーザーに対しては、購入製品から一定額の割引が受けられる特典の宣伝もあります。そして割引クーポンの配布も新規顧客とリピーター獲得にも欠かせないサービスです。
WeChatPayでユーザビリティ向上
このような各種プロモーションを利用して商品を購入する決済機能がWeChat Payです。WeChat Payは既に利用者8億人、中国で100万店舗が導入している決済サービスです。この決済機能もWeChatのアプリ1つで完結でき、顧客を煩わせないと評価されています。
また決済機能を使ってもらうことで、顧客を自店舗のWeChatアカウントのフォロワー化を促進できるのも大きな魅力のひとつです。
フォロワーになっていただくことで、購入後にも自店舗のキャンペーン情報などを配信することも可能になります。
日本でも既に7000社の飲食店やアパレル企業がインバウンド決済のために早期からWe Chat Payを導入しています。しかしその顧客フォローまで対応できているのはまだわずかです。
これから中国以外の海外ブランドもWe Chatの公式のアカウントを使って、集客、サービス、決済、アフタフォローまでをシームレスに管理することが中国EC市場では必須になってきていると思われます。