越境ECをスタートする時に一番に気になる点であり、決めなければいけない点がターゲットの国だと思います。
もちろん国を定めずにグローバル展開しているモールに出品するという方法もありますが、より具体的に策を講じたり、喜んでいただける商品やサービスを提供する予定であれば、ターゲットの国は定めなければなりません。
これはマレーシアでECサイトを運営している人が越境ECにおいて中国と韓国と日本を一括りのターゲットとしてマーケティングをしているようなものです。
ちょっと違和感を感じますよね。でも実際にはこのように大雑把にしか掴んでいない人が多いのです。
そうならないためにも今回は越境ECのターゲットの国を決める具体的な方法を紹介させてもらいたいと思います。
最初に絶対に押さえておいた方がいいことはその国のライフサイクルです。
ライフサイクルとは全てのものの起こりから成長し、衰退していくサイクルを表したものです。これは商品にも業種にも人にも当てはまりますが、国にも当てはまります。
「導入期」→「成長期」→「成熟期」→「衰退期」の4つに通常分けられており、日本でしたら戦後1945年からをスタートとすると、1954年から1973年のいわゆる高度経済成長期が成長期になり、以後バブルまでの1993年の安定成長期を成熟期、その後20年が失われた20年と呼ばれる衰退期に入っていると分類されます。
人間でいうと、0−20歳が導入期、20−40が成長期、40−60が成熟期で60以降が衰退期と分類できます。
今の越境ECでもみんなアジアを狙っているのは平均年齢が20代後半であり、国として成長期にあるからです。
日本ではこの成長期に何が売れ、どんな購買心理が働いたのかを見ることで、これからのアジアの購買されるものや購買心理が分かります。
もっと詳しく記載すると、例えば平均年齢が20代後半(20代後半の人が総人口に占める割合が多いことなども含む)であると、何が起こるか。ウェディング業界、そしてファミリー層がターゲットの業界、次に来るのがベビー業界、その次に教育関連の業界という流れでマーケットが大きくなります。
そしてこの国のライフサイクルから落とし込んだ業界のライフサイクルの軸と平均所得や一人当たりGDPの掛け算をする訳です。
そうすると、どんな業界のマーケットが増え、どのようなものや価格が売れるのか、マーケットにハマるのか、が見えてきます。
自社がどのタイミングでどの国にどんな商品で持って進出するのかの仮説が立つことになります。このライフサイクルからの視点がまず1つ目の国を決める時に見て欲しいことです。
そしてもう1つが国の歴史です。その国の歴史を勉強することが、その国に進出する時のベースになります。
どんな歴史があるのか、ということは、今の人にどんな影響を及ぼしているのか、何にお金を使うのか、どんなものを好んで消費するのか、時代の流れとともに変わるところと変わらないところは何なのか、を知ることが大事です。
例えば、ブランド物が好きなのか、ブランド認知はそれほどされていないけど、モノとしての価値で購買判断をするのか、ということは日本からの越境ECにおいては非常に大事なポイントです。
日本の企業はノンブランドで、こだわった商品を越境ECで売って行こうとすることが多いので、それが通用するのがどの国なのか、ということが大事になります。
そしてそれは1つ目のライフサイクルとも連動しているポイントです。ライフサイクルが進めば進むほど、購買経験が豊富になり、自分基準での物の購買軸が出来上がりますので、そういう国を狙った方がよくなります。
素材や作りもその国の歴史によって、何が良いというものが変わってきますので、是非ご参考いただければと思います。
最後に今のライフスタイルです。大きな視点から見たライフサイクルや歴史とは違い、今の今をポイントに絞り込んで最終的な国を決めます。
大きな視点から小さな視点に絞り込んでいくイメージです。
今のライフスタイルを見るには、やはり今の人や情報とどれだけ接するのか、が大事になります。
出来ることなら現地に訪問し、自分たちが売っているものと同じような物を売っていて繁盛しているお店に行き、接客を受けて、どのような価値提案をしているのかを把握し、それを上回れる価値を下回れる価格で提供できるのかがポイントになります。
そして一番良いのは、グループインタビューです。自社の商品を持ち込み、ターゲットの国の人に説明し、価格も提示し、売れそうかどうかを聞いて見る。これが一番です。
その国のことを知らない人同士、もしくは日本で色々と考えていても、答えはなかなか出てこないです。
3つの側面から越境ECのターゲット国を決める方法を模索してきました。
この次は越境ECで商品が売れるかリサーチする方法というテーマでさらに深掘りしたいと思います。