モバイル決済は小売業者の将来を担うか?
米国大手小売業者のTargetは最近、店舗内スマートフォン決済技術を導入すると発表しました。この種のウォレットレス決済を提供するGoogleやAppleのようなサービスはすでに存在していますが、Targetは独自の店舗内決済アプリで、モバイル決済の分野に参入する予定です。
これはTargetに限定したコンセプトではありません。KohlとWal-Martは既に店舗内モバイル決済を受け入れており、世界中の小売業者や企業もまた、この技術に飛びついています。モバイル決済は、eSellerと小売業者が採用する技術の次の大きな波となるのでしょうか?
人気上昇中の技術
Business Insiderのレポートによると、2019年までにモバイル決済額は8000億ドルに達すると予想されています。ホンダは、ラスベガスの次のコンシューマーエレクトロニクスショーで、ダッシュボード決済機能を備えた車種を発表します。この技術により、運転手は車のダッシュボードから、ガソリンや駐車場などの料金を支払うことができます。FordとVolkswagenも、この技術を実験しています。
中国は、すでにこの技術を全国で利用しています。6億9500万人のモバイルユーザーがいる国で、企業がモバイル決済の時流に乗っていることは驚くことではありません。映画チケットの購入から、電気代の支払いまで、すべてをスマートフォンで行うことができます。このような技術があれば、もはや財布は必要でなくなるかもしれません。
技術の仕組み
モバイル決済が支配的になるまでの道のりは、平たんではありませんでした。US TelecomのIsisの試みから、若干成功したGoogleウォレットまで、途中でいくつかの重要なブレークスルーと、大きな挫折がありました。
2017年の年初には、開発者、小売業者、消費者は皆、今年がモバイル決済元年となることを期待していました。このコンセプトの背後にある技術は、一度その説明を受ければ理解できるシンプルなものです。
利用可能なモバイル決済には次の4種類があります:
- mPOS: お客様のクレジットカードを機械で読み取る代わりに、モバイルPOS(Point of Sale)または店舗内支払いにより、お客様はスマートフォンまたはスマートウォッチを使用して、購入代金を支払うことができます。
- モバイルコマース: 多くの人がこの経験があると思いますが、携帯電話からオンラインショッピングをすることを指しています。したがって、Amazon、AliExpress、またはより小さなオンラインストアから、携帯電話で何かを購入するとき、まさにモバイルコマースを利用しているのです。
- モバイルピアツーピア: P2Pとしても知られている、Googleウォレットなどのサービスでは、銀行のアカウントやクレジットカードを、モバイル決済プラットフォームに接続して、簡単かつ迅速に資金にアクセスすることができます。
- モバイルクレジットカードスワイピング: モバイル処理とも呼ばれ、小売業者が従来のPOS端末を使用せずにクレジットカードの支払いを受け入れる方法です。
さらに深く:NFCを理解する
現在の技術は、近距離通信(NFC)ネットワークを介して機能します。NFCは、2台のマシンが互いに至近距離にいるときに通信して、情報を共有できるようにします。したがって、スマートフォンはWal-Martのキャッシュレジスターと通信することができ、直接購入代金を支払うことができます。
NFCシステムを使用する最も一般的な2つの方式は次のとおりです。
- QR codes: QRコードは、内部に電子情報を保持する小さなバーコードであり、機械(またはこの場合はスマートフォン)で読み取ることができます。一部の店舗では、QRコードを使用してより迅速で簡単に商品を購入することができます。買い物客は、QRコードをスキャンして価格を調べたり、商品代金を直接支払うことができます。
- アプリ: アプリケーションは、同じ種類の技術で動作します。銀行口座やクレジットカードはアプリにリンクされていますので、スマートフォンをスキャンしたり、店頭で購入確認の入力をすることができます。
モバイル決済の何がそれほどスゴイのか?
どのようなイノベーションにもあるように、このコンセプトにも利点と欠点があります。モバイル決済は、支払いの利便性を革新するとともに、次のようないくつかの利点をもたらす可能性があります。
- もはや財布を抱える必要はありません:ポケットが軽くなるのはいつでも大歓迎です。
- 家に置き忘れても大丈夫:財布を家に置き忘れても戻る必要はありません。
- 可能性は無限です。一旦、この技術が導入されれば、さらなる進歩のためのインフラストラクチャはすでに整ったことになります。
- より堅牢なセキュリティの可能性:誰もが知っている、大企業がハッキングされたという話(2013年のTarget の大損害のような)は、クレジットカードでのスワイプの危険性を浮き彫りにしています。モバイル決済は、ワンタイムの利用番号を作成しているため、小売店が実際の個人情報を得られないので、よりセキュアな選択肢と言えます。カードデータも、モバイルデバイス(実際の携帯電話ではなく別のCPUチップ)に、より安全に格納されるため、モバイル機器が盗まれたり紛失したりした場合にも、情報を簡単に消去することができます。
想定されるリスク
確かに、モバイル決済は、より速く、簡単でスマートなソリューションであるようです。しかし、私たちは大勢の人々を忘れていませんか?スマートフォンを持っていない人や、この技術を扱うことができない人はどうでしょうか? ユーザーが6億9500万人いると聞くと、非常に多いように思えるかもしれませんが、この数字は中国の人口の約半分に過ぎません。そこにはインターネットに触れたこともない人が6億4200万人もいます。モバイル決済プラットフォームは、人口の大部分を排除しています。
また、モバイル決済は、多くの買い物客に混乱をもたらす可能性があります。人々は新しい技術に慣れず、プラットフォームはまだ開発途上で、全体のコンセプトは依然としてその欠陥を取り除くべく作業中です。多くのプロバイダーは、スターバックスのギフトカードや新しいモバイルプラットフォームを使用するための割引など、買い物客にインセンティブを提供しています。これは、たとえ最初は興味がなくとも、モバイル決済の旅に乗り出すよう人々を誘うためです。
各国政府は、テクノロジーに繋がらない人口に対して、モバイル機器やインターネット機器をよりアクセスしやすくすることで、このプロセスを手助けすることができます。適切な教育もこの目的に役立ちます。
セキュリティが、もう一つの懸念材料になるかもしれません。個人データはモバイルデバイスでより安全に保存されますが、適切なセキュリティ対策を講じなければ、重大なハッキング攻撃を招く可能性があります。
結論
モバイル決済は、デジタルトランスフォーメーションの次のステップでしょうか、あるいは単なる流行にすぎないのでしょうか?この技術が本当に飛躍するためには、プロセス全体が魅力的で簡単でなければならず、買い物客にスムーズで迅速なユーザーエクスペリエンスを提供する必要があります。言い換えれば、すべてのプレーヤー(銀行、小売業者、モバイルサービス、スマートフォン開発者、アプリプラットフォーム)が息を合わせることです。すなわち、多くの業界間の協力が必要なのですが、この自己中心的な市場にとっては難題です。
2017年は、オンライン小売店と実店舗の両方にとって興味深い年になるでしょう。そして、モバイル決済が、私たちが待ち望んでいたソリューションになるか、皆が見守っています。