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中国のD2Cブランド完美日记(Perfect Diary)徹底解剖 - Payoneer Blog

中国のD2Cブランド完美日记(Perfect Diary)徹底解剖

Mitsutoshi MurataMitsutoshi Murata
2020年6月8日

中国のD2C市場

近年、中国の国産ブランドはスナック類や飲料、コスメ、スキンケア用品のマーケットでその勢いを増してきています。中でも小規模なブランドが急速にその勢いを増やしつつあります。それらはD2C(Direct-To-Consumer)ブランドと呼ばれ、いずれも小売企業を介さず、顧客に直接商品を販売するのが特徴です。

今回注目するのは中国のD2CブランドPerfect Diary(完美日记)とそのマーケティング戦略です。

2016年の発売以来、Perfect Diary(完美日记)は中国で大きな話題と販売を生み出しています。中国では従来外国産の美容商品が人気ですが、今ではPerfect DiaryがTmallで最も人気の高い化粧品ブランドの1つになっています。2019年の独身の日のセール期間中、Perfect Diaryは1億人民元(1400万米ドル)の売り上げを1日で記録しました。

 

中国ならではのSNSアプリ戦略

D2Cブランドの開発戦略の道筋は非常に明確でした。実店舗に依存することなく、製品を製造して直接消費者に出荷しています。 アメリカでの成功例Glossier、Allbirds、EverlaneなどのD2C主力ブランドと同じ戦略展開です。”ただそこに加えられたのが、中国ならではのSNSアプリ戦略があります。中国でもオンライントラフィックを得るための大手ECプラットフォーム広告料は高額になっています。そこでPerfect Diaryが目をつけたのはプライベートトラフィックです。アメリカではブログやメールがその対象になりますが、中国ではWeChatアプリのプライベートトラフィックを活用することで、Perfect Diaryは消費者と1対1で関わり合うブランド戦略の先駆者となりました。”

海外高級美容ブランドのようにプライベートアカウントを一つメイン活用するのではなく、自社の顧客と友達になったりチャットしたりする架空のアバター「小完子Xiao Wanzi」を活用する戦略をとりました。

Perfect Diaryの従業員や招待されたインフルエンサーによって実行されている何百ものアバター「小完子Xiao Wanzi」それぞれにWeChatアカウントがあり、各アカウントにブランドの顧客でいっぱいのWeChatグループができています。

各グループでは小完子Xiao Wanziと顧客との日常的な気軽なチャットや、ビューティーアドバイスなど顧客同士が共有できる話題で頻繁にトラフィックの更新が続きます。またPerfect Diaryの新製品に関する情報や、ライブストリーム、プレゼント、ミニプログラムなどのキャンペーンなど顧客の興味を魅くためのイベント投稿も頻繁に行われます。

参照記事:https://jingdaily.com/fictional-influencer-xiao-wanzi-is-perfect-diarys-secret-to-success/

 

積極的なコンテンツマーケティング

もう一つ成功した戦略は中国で美容に興味がある女性なら誰でも知っている、SNSアプリ小紅書xiaohongshu(RED)での積極的なコンテンツマーケティングがあげられます。

このアプリはインスタグラムのように写真や動画、日記など自分のライフスタイルを他者と共有できるソーシャルのプラットフォームと、投稿内で紹介されている商品をアプリ内で購入できるマーケット機能を併せ持つ中国発のアプリです。

そこでのサンプリングキャンペーンとハッシュタグキャンペーン、オフラインイベントのプロモーション、アートに焦点を当てたコレクションとのユニークなコラボレーションや芸能人とのコラボレーションなど、あらゆる角度からのアプローチを徹底的に仕掛けるコンテンツマーケットに多大な投資しています。

その結果Perfect Diaryの製品は、リップスティック、リップグロス、アイライナー、アイシャドウパレットなど、REDの半年ごとの美容アワードのトップ10にランクインしています。

上海にあるREDの実店舗であるREDHOMEの中央ディスプレイにも目立つように掲載されています。またPerfect Diaryの実店舗展開やポップアップショップもスピーディーに拡大しています。
https://mp.weixin.qq.com/s/YK4vnkv4AW880eu6o9DtzQ

 

KOLからKOCマーケティング戦略へ

キーオピニオンコンシューマー(KOC)は、ビデオや投稿を作成して独自の製品レビューや推奨事項を共有する消費者です。 これまでインフルエンサーマーケティング手法に、ブランドや小売業者はKOL(キーオピニオンリーダー)を活用してきました。

しかしその兆候が変わってきたことにPerfect Diaryは早くから反応しています。

Kwai、RED、TikTokなど人気のSNSアプリでKOCは他の買い物客の購入決定に影響を与える製品レビューを簡単に共有します。 KOCの人気が高まっている理由の1つは、KOLがブランドにスポンサーされている製品を推奨することを消費者が認識しているため、KOLが提供する情報のインパクトと信頼性が薄れてしまってきたことです。一方、KOC自体は公平な製品レビューを提供する日常の消費者で、もっと身近に共感されやすい特徴があります。

KOCマーケティングは、実際にPerfect Diaryのマーケティング計画の重要な要素の1つです。同社によると、ブランドは初期の頃、前述したようにWe chatグループなどでKOCと大規模に協力し始めました。

KOCはPerfect Diary製品を使用した経験を発信し、グループで共有しました。こうやってまだ購入したことがない一般の消費者にまでPerfect Diaryが非常に人気があるトレンドアイテムに感じられる流れを作り出しました。

中国D2CブランドのSNSアプリマーケティング戦略活用例でもわかる様に、その国独自の消費者の好みやアプリの浸透率、消費動向を学習してマーケティング戦略を合わせていけることは、越境ビジネスを考える上で不可欠な要素となっています。

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