日本国内でもオンラインショッピングの利用者が増加するにともない、配送量が莫大に増え、配達に関わる人材不足や、配送サービスの問題解決に多くの運送業者が取り組んでいる状況です。
2017年前半にヤマト運輸が最大の取引先であるアマゾンの当日配送業務からの撤退を表明しました。これによって過熱する配送料金の低価格化、配送スピード競争に一旦ブレーキがかかったように見られました。
その後、当日配達を翌日配達に切り替えたり、配送オプションの料金設定の見直しに着手した企業または検討している企業も多くあるでしょう。ただその中でも自社で物流網を持っているヨドバシやオムニセブンなどは当日配達サービスを継続しています。
アメリカでは2018年2月The Wall Street Journal掲載記事で、Amazonが新しい自社の配送サービス「Shipping with Amazon」の試験運用に着手すると報道がありました。このサービスはAmazonが販売業者から直接商品を受け取り、顧客に配達するというものです。
これまでAmazon Prime会員に対してAmazonは自社の倉庫から発送できる商品に関しては、アメリカ国内で送料無料で2日以内納品するサービスを提供してきました。
しかし顧客がAmazonのサイトで購入した商品が販売業者からの発送の場合では、その納期だけでなく、その商品の配達状況に関しても外部の業者まかせになっていました。
そのため2013年のホリデーシーズンには外部の運送業者が配達していた商品が遅れてしまったということや、配達中での商品の紛失や損傷により200億ドルの損失が生じています。
このニュースの報道でアメリカの大手運送業者UPS(UPS、-1.02%)とFedEx(FDX、-1.76%)の株価が下落するなどAmazonの運送業界への参入は注目されています。
このように世界的に自社で物流網を確保し、低価格、スピーディー、そして安定した配送サービスで顧客に商品届けることを目的にさまざまなチャレンジが行われています。
物流用語の「ラストワンマイル」すなわち配送拠点から購入者の受け取り場所までの選択肢を増やすことで、問題を解決するための試みが進んでいます。
UberRUSH, Postmates, Deliv やAmazon Flex など、このラストワンマイルを担うためのベンチャー企業も多く出現しました。
またオムニチャンネル化が進むアメリカの企業では、オンラインで購入した商品をオフライン(店舗)で受け取るサービスも数多くの取り入れられています。
たとえばカーブサイド・ピックアップは利用者がネットで注文した商品を指定されている店舗駐車場にて店のスタッフから受け取るサービスです。通常、利用者は車から降りる必要はなく、注文品はスタッフがトランクに積んでくれます。
商品の受け取り先、時間、方法を顧客に選択できるチョイスがあることで、配送業者の不在配達や再配達の手間もなくなります。顧客が店舗に足を運ぶきっかけにもなり、さらに返品についてもそのまま店舗の在庫として再販売しやすくなります。
このラストワンマイルを充実させる物流網を自社で構築できることかどうかが、これからのEC業界での生き残りに大きく関わってくるでしょう。