上・【米国の現場から】米国進出の成功と失敗
下・【米国の現場から】米国進出の成功と失敗
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ジャパニーズポップカルチャー、それは平成が生んだ日本の救世主である。
一方で、社会的にはクールジャパン戦略に対して「ポップカルチャーを海外に売り出す構想は、なぜうまく行かないのか」というネガティブ議論や記事を多く目にする。
そして悲しいかな、それは海外メディアにも記事化される事もある程のコンテンツである。
もっとも、その見解は多角的な視点が多いため、今回は米国に現場レベルのミクロ視点で記事にしていくので、最後までお付き合いいただきたい。
※長文記事のため上・下での掲載
目次
- そもそもクールジャパン戦略とは
- クールジャパンの光と影
- 成功事例と失敗事例
- まとめ
記事のポイント
- 根深いプロダクトアウト精神
- 海外進出成功への基本思考
- ITOEN USAの躍進とその理由
- 米国進出のよくある失敗例
<そもそもクールジャパン戦略とは>
よく聞くワードだが、よくよく考えると具体的に説明できないので、少し踏み込んで説明する。
また、「いちプレイヤー」として越境EC、アマゾン輸出含め関係性が補助金含めダイレクトに関わるので頭に入れておいて損はない事項だろうと思い、記事にしていく。
さっそくだが、クールジャパン戦略は3項目から戦略策定がなされている。
座学になるがこれから海外ビジネス1%でも考える人は是非読んでほしい。
1、世界から「クール(かっこいい)」と捉えられる(その可能性のあるものを含む)日本の「魅力」の情報発信、海外への商品・サービス展開、そしてインバウンドの各段階をより効果的に展開し、世界の成長を取り込む
2、具体的には、「食」、「アニメ」、「ポップカルチャー」などに限らず、世界の関心の変化を反映して無限に拡大していく可能性を秘め、様々な分野が対象となり得る
3、そして、世界の「共感」を得ることを通じ、日本のブランド力を高めるとともに、日本への愛情を有する外国人(日本ファン)を増やすことで、日本のソフトパワーを強化する
という事だ。
しかし現状は様々な情報の通り、順風満帆とは言い難いため、課題を入れた全体像を絵にしてみるとこのようになる。
※内閣府HPより抜粋
個人的に最も大切にすべき点は、マーケットイン思考を重視し海外の需要を正確に取り込み、プロダクトやサービスに落とし込むことである。
特にアウトバウンド(輸出)の場合、マーケットイン思考は不可避である。
そして、0から作る事ではなく現在の「環境、技術、立場」を理解した上で、その優位性を活かしたものを作り上げていく必要がある。
日本が積み上げてきた「コンテンツと食」に着目し、クールを創出していく方向性がメインな動きとし、以下資料を参考までにしてみてほしい。
※内閣府HPより抜粋
※内閣府HPより抜粋
<クールジャパンの光と影>
様々な戦略が策定実行される中、なかなか上手くいかない要因の一つに、日本人のこれは売れる!という感覚のズレによるところが大きいと言える。根深いプロダクトアウト精神である。
その中で、結果として明暗がある部分を現場ベースから独断と偏見で伝えるので参考にしてほしい。
【光その1】
~アニメエキスポ(米国)とコスプレサミット(日本)~
日本の同人誌界隈の賑わいも恐ろしいほどすごいが、それに勝るとも劣らない状況がアニメエキスポ(米国)だ。
2019年LA開催
ポップカルチャー文化の創出は少しずつではあるが、いや少しではなく、とてつもない速度で市場拡大しているので安心してほしい。
日米の違いというと、コスプレの質は圧倒的に日本のほうが上回っているが、熱量は国・人憚らず、とにかくすごい。
LAでのアニメエキスポも基本的に毎日夜中2時までプレ含め5日間開催されるのは驚きだ。
その中で何人かの現地コスプレイヤーに話を聞いたところ、米国でのアニメエキスポはもちろん、世界コスプレサミット(名古屋開催)もブランド化。
NAGOYAに行くのが夢!というコスプレイヤーがいるほど、聖地化されていることに驚いた。至る所で”NAGOYA”と書かれたバナーが掲出されていたのである。
この世界コスプレサミットは毎年名古屋で開催され、会期中となると近年は名古屋の主要個所を占拠するほどの勢いで、世界の需要を取り込んでいる成功事例といえる。
また角度を変えて、FAKKU(○ロ漫画)のサイトも恐ろしく好調だ。サイトには一か月で10億の閲覧数があり、イベントでも毎日このような状況となっていた。
感覚的にわかる人もいると思うがこの市場、まだまだこれから飛躍的に伸びていきそうな雰囲気を感じた。専門の翻訳会社(日本から出店)には長蛇の列ができており、その他にもここにはまだ多くのビジネスチャンスが隠れているだろう。
【光その2】
~Amazon.com販売におけるポップカルチャーの恩恵~
「光その1」の恩恵を受け売上が拡大しているのは、ポップカルチャー周りの商品である。
ポップカルチャーと聞くと、アニメやおもちゃ、フィギュアを想像する方が多いと思うが、意外なところにも大きな影響を及ぼしている。
一部抜粋すると例えば、タブレットスクリーン・フィンガーグローブ・文具画材なども該当商品だ。関連商品で日本の商品がAmazon.comのベストセラーやAmazon’s Choiceに選ばれているのは10や20ではない。
商品例:理由)
タブレットスクリーンフィルター:手書き感など
フィンガーグローブ:書くときの誤作動防止など
文具画材:水彩や専用マーカー、代替マーカー、色鉛筆、アクリル絵の具などが人気
流行っている理由は、Amazon.comや各種SNS・ブログをリサーチするとレビュー等で確認ができる。
アマチュア同人誌作家やアマチュアクリエーターが飛躍的に増えているため需要が拡大しているのであろう。
一方で、日本人販売者として耳が痛くなる部分としては、せっかく作り上げた市場・需要を他国の販売者にもぎ取られてしまっているという事実だ。
マーケットインで正確にリーチできている他国セラーが該当経済圏を先導しているケースも多いので、我々の頑張りが今後より一層必要と考える。
「以降の記事は来月UPの<下・【米国の現場から】米国進出の成功と失敗>」
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