オンラインで何かを購入する際、その商品のレビューを参考にしますか?旅行先でのホテルやレストラン探しに、レビューサイト(例えばトリップアドバイザーや食べログ)を参考にしますか?
BrightLocalの調査によると、消費者の85%の購入意思決定にオンラインレビューが影響していると発表されています。(参照元:https://www.brightlocal.com/learn/local-consumer-review-survey/)
企業側としては顧客満足の指標としてお客さまの意見に耳を向けるということは、これまでも取り組んできていることと思います。
ただこれまでと変わってきているのは、お客様が商品を購入する際に、他の購入者のカスタマーレビューを参考にする割合が大きくなっているということです。(カスタマーレビューとは企業が提供する製品やサービスについてのお客様からの批評・概観・報告・意見などを表したものをさします。)
今回はカスタマーレビューの取り扱いとその傾向に注目します。
外部のレビューサイトが集めたカスタマーレビューを、自社サイトに掲載や活用を行える権限はありません。せっかくのお客様からの声がたくさん集まっていても、それに対して何も対応ができなくてはカスタマーレビューを活用できているとは言えません。
レビューは商品・サービスへの評価のフィードバック効果だけではなく、SEO効果や、お客様からの信頼性向上のための貴重なコンテンツです。自社サイトにカスタマーレビューを集めることで、検索エンジンでの自社のオーガニック検索ランキングにプラスの効果がもたらされます。
まず、サイトの製品について書かれた新しいレビューは、その製品に提供するコンテンツの量を増やします。つまり、より高い権限と関連性があるとみなされ、それらのページは検索エンジンでのランク付が向上します。
レビューの増加に比例して、コンバージョン率が上昇します。自然な顧客心理でたくさんのカスタマーレビューがあるということが、そのサイトへの興味と安心に繋がります。
ただし短期間で不自然に多いレビュー数を獲得するような動きは逆効果です。
批判的なレビューが全くないレビューに対して、顧客心理としては企業側がレビューを選別して掲載していると思われがちです。
逆に批判的なレビューに対して企業側の対応などが誠実に掲載されている方が企業とそのサイトの信憑性を高めます。
レビュー数は多い方がコンバージョン率はアップしますが、購入決定には参考になるカスタマーレビューが少数でもあるほうが効果があります。
特にそのレビューを投稿した人の信頼性も大きく影響します。
Amazonアメリカでは顧客の半数以上がプライム会員で(現在の会員数は約8000万人以上と推定)、顧客の積極的なカスタマーレビューの発信を推奨しつづけています。
参考になるレビューを発信する人をランキングで発表したり、Amazon Vine 先取プログラムのように、特に評価の高いトップレビュアーに予約商品や新商品のサンプルを利用してもらい、意見や感想をカスタマーレビューとして投稿してもらう招待制プログラムがあります。(参照元:https://www.amazon.co.jp/gp/vine/help)
Amazonのチーフ・エグゼクティブであるJeffrey P. Bezosは、1995年にオンライン書店で顧客のレビューを紹介したアイデアを支持し、消費者が店舗よりもスマートな選択肢をオンラインで購入できるという考えを実現してきました。そしてそれに続くUber、Airbnbなどの数々のレビューベースのサイトのための道を開きました。
ただし近年増加するフェイクレビュー(偽造されてレビュー)の投稿によりAmazonのレビュー評価の信憑性に顧客の間からは疑念の声あがっています。またそれが売り上げに影響される企業からも不満の声があがっています。
Amazonは2016年後半に、これまでよりも更に厳しくフェイクレビューを取り締まるため、新たなガイドラインをうちだしました。その一部でVineプログラム以外のレビュー投稿者への報酬や商品の無料提供や割引も禁止しました。また違反している業者や投稿者をAmazonサイトから排除しています。
社会の声を反映するように、Fakespot、ReviewMetaといったレビューを分析するサイトも利用されるようになっています。
カスタマーレビューは企業と顧客の間に正当で健全な関係が成り立つ上でその効果を発揮するものであり、そのカスタマーレビューが悪用されたり、顧客に誤解をあたえないように、企業にはその取り扱いに責任があるといえるでしょう。