マーケティング、販促

ECとリアルイベントの相乗効果

ECでも実店舗が大事になってきた2019年

2019年もEコマース(オンライン小売)における競争が激化し、インスタグラムなどのSNSプラットフォームを利用した広告にかかるコストがだんだんと増加するなか、EC専門ブランドは消費者間の認知度を高め、売り上げを伸ばすためにもオフライン(実店舗)に力を入れるようになっています。
オンラインで起ち上がる新しいブランドが増えすぎて認知度が高まらない現実を打破するため、ターゲット層の顧客にさらに近づくサービスを充実していくためにリアルイベントを実現する動きが出てきています。

Neighborhood goodsという事例

その中で再度注目してみたいのは、このような新しいオンラインブランドに対して、オフライン(リアル店舗)に展開するための売り場やツールを提供するアメリカ テキサス州発のNeighborhood goodsです。
以前の記事(参照:マイクロブランドの台頭)の中でも少し取り上げましたが、これまでのデパートやモールとは違ったアプローチを持つデパートメントとして注目され、ちょうど今月2019年12月にNY チェルシー地区に第2号店がオープンし話題になっています。
Neighborhood goodsでは、取り扱うブランドの背景にあるストーリー、製品化されるまでのプロセスや個人的な動機は、アイテムそのものと同じくらい重要だと考えています。
Neighborhood Goodsは新しいタイプのデパートであり、世界で最もエキサイティングなブランド、製品、コンセプトの絶え間なく変化する風景を特徴としています。 それ以上に、Neighborhood Goodsはコミュニティであり、活気に満ちた物理的なスペースで、コンテンツなどを通じて、思いやりのある人々が買い物、食事、学習をします。
抜粋: https://neighborhoodgoods.com/ ホームページより

CEO Matt Alexanderの視点

CEOのMatt Alexander(Mark Masinterとの共同設立者)は、デパートのほぼ静的なレイアウトとサービスがある程度の「一貫性と信頼性」を提供する一方で、「退屈で変わらない」ことに着眼しました。
Neighborhood Goodsでは、これまでのデパートのように大箱を用意しますが、約40ものブランドそれぞれがブランドの美学と製品を強調できる店づくりをサポートします。
そしてブランドの魅力やストーリーを語れるスタッフ(ストーリーテラー)教育にも注力しています。
Neighborhood goodsのスタッフ教育は、商品の販売を目的に教育するのではなく、お客様との対話を大切にし、お客様からの意見やニーズを理解し、それをブランドにフィードバックする役割も担えることを優先目的としています。

イベントについて

店舗には、レストランやバー、イベントやワークショプなどに使用できるお洒落でオープンな共用スペースもあります。
そこでは毎週様々なイベントが行われていて、ブランドとお客様の学びの場であり、お客様同士のコミュニケーションの場であり、スタッフとお客さんが商品の使用感を体験する場であったりしています。
https://neighborhoodgoods.com/blogs/events
アプリを通じて各商品の情報提供に加え、チャット機能でスタッフに質問ができたり、セルフ決済などデジタル環境も整っていて、ブランド側の出店の際の手間が省かれる仕組みができています。

オフラインでのテクノロジーの活用

また店舗内の顧客のトラフィックや行動をテクノロジーで分析し、そのデータと販売データを組み合わせることで、各ブランドにNeighborhood Goodsでのブランドアクティベーションのさまざまな側面を評価できるだけでなく、ブランドの成功のさまざまな測定に相互に焦点を当てることができます。
多くのオンラインブランドにとって実店舗の出店は、資金、立地、契約条件など煩わしい問題がたくさんあるわりに、相次ぐモールやデパートの店舗閉鎖などで、出店のメリットが見えにくい状態が続いていました。
そんな中Neighbourhood Goodsでは、オンラインブランドが短期間でも実店舗をもち、ブランドが各々の目的を試すことを可能にしています。またその流動的で絶えず変化するスペースは消費者にも常に新鮮さを届けることに繋がります。

バックエンドデジタルプラットフォームの構築

Neighbourhood GoodsはシリーズAラウンドで1,100万ドルを調達し、総資金を2,550万ドルにしたと発表しました。
その資金は、会社がより多くの不動産を確保し、スタッフを増やし、サプライチェーンを強化し、すべてのブランドパートナーのためにバックエンドデジタルプラットフォームを構築するのに役立ちます。
そして次の出店予定地は、テキサス州オースティンのMusic Laneと呼ばれる新しい複合開発の一部であると発表されました。
そこには新しいEquinoxジム、靴メーカーAllbirds、フレグランスブランドLe Labo、アパレル小売業者ReformationおよびアスレジャーブランドLululemonも出店予定で、今後のNeighborhood goodsにどんな新しいブランドが店舗に出店するのか、その展開にも目が離せません。

Mitsutoshi Murata

株式会社プリンシプル 代表取締役 船井総合研究所WEBコンサルティングチーム コンサルタント、チームリーダーを経て、2013年、株式会社プリンシプルを設立。メンズの総合セレクトショップ フリースピリッツ立上げ。2014年より越境EC事業を開始し、2016年、越境ECが全体の売上構成比20%に成長