日本の贈答文化が世界にくらべて特有なものであることは、みなさんご承知ですよね。まず日本は他の国にくらべて儀式的にギフトを贈り合う機会がとても多いということです。
お年賀、お中元、お歳暮などの季節のご挨拶としての贈り物。出産、入学、成人、就職、結婚、新築 などなど人生の節目のお祝い。さらに誕生日、クリスマス、バレンタイン、旅行のお土産などのイベントギフト。きりがないと感じるほどあります。
そして他の多くの国との違いは、このお祝いに「現金」も贈られること、そしてその「お返し」のルールとマナーが存在することです。
日本で生活していると、きっとみなさんもお祝い金や品物を頂いたときに、「この場合はどのくらいのお返しをするのが一般的なのかな?」と調べたこともあると思います。
「現金」を贈り合うことが受け入れられているのに、「贈り物」の金額が受け取り手にわかることはためらわれるという稀有な贈答文化ですよね。
そんな日本でも最近スーパーやコンビニのレジ横でギフトカードがぶら下がったラックを見かけるようになりました。アメリカではよくある風景ですが、日本でこれを見かけるようになったのはここ数年のことだと思います。
Amazonや楽天をはじめ、ゲーム、音楽、などオンラインショッピングの支払いの際、カードに記載されたコードを入力することで、贈られた金額分が使える仕組みのギフトカード。
アメリカでは贈り物としてギフトカードを利用することはよくあります。ギフトカードのデザインもいろんな種類から選べたり、こだわったパッケージに入っていたり、メッセージが付けれたりとギフトカード選びに迷ってしまうほどです。
近頃ではEメールで贈りたい金額を送るEギフトカードも頻繁に使われています。
また品物を贈る際にも、購入店が発行するギフトレシートをもらって、購入品といっしょに贈ることが一般的です。
もし受け取った人が贈られた品物を気に入らなかったりサイズが合わなかったりしたら、いつでも購入店で交換や返金できるようにするためです。
アメリカのギフト文化が日本よりも気軽で合理的なのは、そこに日本のような「お返し」を意識することがないからかもしれません。
ギフトのラッピングでも、日本では慶事弔事で包装紙やその包み方がまで細かく決まりがありますが、アメリカでは、もしサービスがあったとしても箱や袋にリボンをつける簡単なギフトラッピングです。包装紙を使ってギフトラッピングを希望する際は別料金であったり、ギフトラッピング専門の業者に頼んだりします。
多くの人がラッピングの専門店でいろんなデザインの中から気に入ったラッピング用紙やリボンを選んで自分の好きなようにラッピングします。品物そのものより、いかにオリジナリティーのある素敵なラッピングができるかを楽しむ風潮もあります。
日本では比較的喜ばれているカタログギフトは存在しますが、アメリカではギフトとしての利用よりは、寄付金集めの目的として使われることが多いです。
さらにPersonalized service「名入れ」サービスもよく利用されます。専門店もたくさんありますし、(例:https://www.personalcreations.com/)
自社ブランド商品に「名入れサービス」を別料金(1000円程度)で提供するお店も多数あります。
わたしたちはにとって儀式的で丁寧さを求められる日本の贈答文化は、つい面倒に感じ、気軽で合理的な欧米のギフトサービスのほうが取り入れやすく真似しやすい気がします。
しかしせっかく継がれてきたこの贈答文化のその形式だけにとらわれすぎず、優れている部分を見直すことで、もっと国内でも海外でも喜ばれるすばらしいサービスに発展できるのではないかと考えます。