ULTAに見るAmazon耐性の強いショップとは
アマゾンエフェクト
Amazonは美容専門家向け、プロフェッショナル仕様やエステサロンで販売されている美容用品の新しいオンラインストアを発表しました。
https://www.amazon.com/b?node=18684585011&tag=bisafetynet2-20
Amazonによる美容用品の新しいオンラインストアフロントオープン発表は、競合他社に影響を与えました。CNBCによると、このニュースを受けてUltaの株価は2.6%下落しました。Sally Beautyの株価は17%下落しました。
しかし投資家はこのニュースに対して時期尚早に行動した可能性があり、アナリストは、Amazonが美容部門に進出しても、Ultaには限定的な影響しか及ぼさないと考えていると言われています。
それに対してSally Beautyや他のショップは今後苦戦するかもしれないとも言われています。
Amazon-Proof
ここで注目したいのはEコマースジャイアントのAmazonがこれまで商品の取り扱いに苦戦してきた美容業界に顧客の獲得に乗り出した時でも、大きな影響を及ぼさないと考えられるUltaと他のショップとの違いは何なのか。
他の業界でも「Amazon-Proof」と呼ばれるAmazon耐性の強い業種やショップも紹介しながら考えてみましょう。
Ultaのプログラム
まずAmazonのProfessional Beauty Storeは、Wella Color 、OPI Professionalなど、一流ブランドの幅広いセレクションを提供することにより、主にプロのスタイリストとエステティシャンに対応します。
セレクションはプロ用であり、顧客は購入するために国が発行する美容、理髪師、またはエステティシャンのライセンスを所有している必要があります。
まずプロのスタイリストによるUltaの売り上げは全体の10%未満であると推定され、Amazon Professional Beauty StoreからのUltaの売り上げに大きな影響はまずないと考えられます。
さらにUltaとSephoraのように美容用品のセレクトショップでは、実店舗とオンラインで顧客ロイヤリティプログラムが提供されています。Ultaのロイヤリティプログラムには現在約3180万人のアクティブメンバーがいます。
このプログラムでは顧客に報酬プログラムも提供されており、顧客はポイントを獲得して割引を獲得することができます。また顧客データベースからパーソナライズドされた商品、サービス提供や、ギフトも用意されます。
Ultaの特有の実店舗に併設されているサロンでプロによる美容用品の実体験は、他の競合やオンライン販売のみのAmazonと大きく差別化できるポイントです。
アマゾンサイトとのクロスオーバー
つまり Amazonで購入する顧客は欲しいものを効率的に手に入れるために利用し、Ultaは顧客が望んでいるとは知らなかった何かを見つけるのを助けることができるのです。
これはAmazonとUltaの両方扱っているブランドに最小限のクロスオーバーしかないことからも言えます。
例えば Ultaは、アメリカのティーンに絶大な人気のカイリージェンナーのメークアップブランドであるカイリーコスメティックスの商品を販売し始め、売り上げを大幅に伸ばしました。
カイリーコスメティックスのリップキットは、販売と店舗のトラフィックの記録的な増加に大きく貢献しました。有名人とのコラボアイテムやオリジナル商品の販売も顧客に支持されています。
Amazon耐性の強いショップの特性
【体験型】
Amazonの躍進によって多くの大型実店舗を運営していた企業が閉店を余儀なくされ、空き店舗が増えるという状況の中で、これを好機に出店を展開しているのが、フィットネスジムのPlanet fitness。
実際にその場に足を運ぶことで体験できるサービスを提供していることはAmazon耐性は強くなる。
参考:https://edition.cnn.com/2019/05/06/business/planet-fitness-toys-r-us-sears-gyms-retail/index.html
【Un-Amazon-Able】
Costco、Walmart、Ross for less、T.JMaxxには、「Un-Amazon-Able(Amazonには真似できない)品質」がある。
これらの企業は、サプライチェーンと強力な関係を持っているため、価格を非常に低く抑えることができる。 これらの取引を複製することは、費用対効果の高い方法で行うことは非常に困難である。
低価格で質の高い戦略を示しており、業界で一貫した世界的成長と価格リーダーシップを生み出している。100均ショップも同様と言える。
【ロイヤルカスタマーとオリジナリティー】
高級ブランドのようにブランドそのものが支持されている。そのブランドを手にするまでの過程、例えば接客や特典にも顧客が価値を見出すことができる。顧客にわざわざここでこれを買いたいと思わすことができるサービスや付加価値が提供できる。
【専門性】
Home Depotや Auto Zonehttps://www.autozone.com/のように、修理やメンテナンスをするために部品を購入する場合、専門的な意見が聞けたり、施工業者を紹介してもらえる。
Amazonでは必要な部品が解っていれば購入できても、何が必要なのかが解っていないと買えないというニーズに対応できる専門性がある。
まとめ
これらの全てを満たすことができれば、Amazonの動向に売り上げが左右されないのは明確ですよね。ただこのうちの一つでも高めていくことでAmazon耐性を強めていくことはできます。
UltaのようにAmazonには真似できない実店舗での顧客体験、ロイヤリティプログラムや商品開発戦略を意識して取り組むことは、競合との差別化にも繋がるでしょう。