海外通販ショッピングアプリ「Wish」で検索してみると、目につく言葉は「激安」「買ってみた」「安全性」「怪しい」などがでてきます。オンライン広告で低価格な商品がたくさん表示されて、話題性もあり気にはなっているけれど実際にはアプリを使って購入したことはない人が多いのでしょう。
実はこのアプリはアメリカのサンフランシスコを拠点とする会社Context Logicで、創業者である元Googleのエンジニアと元Yahooのエンジニアの2名によって開発されました。Wishはオンラインショッピングユーザーのデータを集積し、機械が自動的にデータから特徴を抽出するディープラーニングの技術を使用することで、ユーザーに関連性の高い広告を掲載者が配置できるシステムを使っています。
そしていち早くWishはスマートフォンで見られるよう対応され、1画面に提供する製品イメージを数多く表示し、短いセッション中に人々を楽しませることを可能にしました。
そして何よりWishを有名にしたのは、他にはない低価格な商品、ものによって、ほぼ送料だけで商品を購入できるようにしたことです。
Wishはユーザーと中国の生産工場を直接つなぎ、その取引に中間業者を排除することで低価格を実現しました。ただし、そのため商品が届くまでに時間がかかったり、実際に届いたものが間違っていたり、粗悪品が出回ったりと多くの問題点もあるのが現状です。
それでもそのユーザー数は3億人を超え、Wishの企業価値は85億ドル(約9560億円)と評価されています。
2015年11月、アマゾンは10億ドルの現金でWishを買収しようとしましたが、創業者の一人Szulczewskiはこの提案を拒絶しました。SzulczewskiはRecodeの取材に対し「年間1兆ドル規模のマーケットプレイスを目指す」と応えています。
利便性を追い求めるユーザーに商品をいかに早く配達するかのサービス競争が激化する一方、配達に2週間から3週間かかっても、どこよりも低価格で購入できることを求めるユーザーもいます。
Szulczewskiによると「米国ではアマゾンで商品を買う余裕がない、“見えない半数の人々”が存在し、Wishはその層をターゲットにしている」といいます。その他とはちがう着眼点が、このビジネスを短期間にこれほど大きく成長させているのでしょう。
またアメリカはスタートアップビジネスへの投資が活発なので、このビジネスに期待をする投資家から新たに2億5000万ドル(約280億円)の資金調達を行うと報告されています。
WishはFacebook広告で年間1億ドルを費やしており、FacebookとInstagramの両方で上位の広告主といわれるほど徹底的にその存在を発信し、若年層の興味を惹きつけています。
ただし、いままだ成長過程にあるWishが改善しないといけない問題は多数あり、会社が急速に立ち上がったことで、そのビジネスモデルがいかに持続可能であるかについて疑問がたくさんあります。
スタートアップの膨大な広告費と積極的な割引をしながら、巨大なユーザー基盤をどれだけ維持し続けることができるかどうかは不明で、そのビジネスの今後の進路に注目があつまります。
Wish他、世界のマーケットプレイス情報は、eBook「世界の越境EC – マーケットプレイス ガイド」をご参照ください。
Wishの売上金は、Payoneerアカウントで受け取ることができます。