Amazonがカリフォルニア州にセラー情報を提供: 巨額な売上税への警告
編集者メモ:本ブログはMichael J. Fleming & Associatesの創設者であるMichael J. Fleming氏によるゲストブログです。
2018年10月23日午後、AmazonはFBAコミュニティを通じて衝撃的なEメールを配信しました。それは、Amazonがカリフォルニア州から「法的に有効かつ拘束力のある要求」を受け、同州に第三者のセラー情報を引き渡すという主旨の内容でした。Amazonは、2018年11月6日にこの要求に従うと発表しました。
ほとんどのセラーの頭に浮かんだ大きな疑問は、それが何を意味するのか、そしてそれが自分にどのような影響を及ぼすのかということでしょう。自分の過去の売上税が露わになるのか?越境セラーの場合はどうなるのか?本記事では、これらの質問について取り上げます。
動向
いきなりカリフォルニア州の発表について触れる前に、いくつかの動向を見てみましょう。ECセラーに関するニュースは、今年になり、特にFBAセラーにとって、ますます不利な内容が増えています。Amazonは、第三者の情報をマサチューセッツ州とロードアイランド州に引き渡すことで、年初のスタートを切りました。これは数ヵ月後、Wayfair裁判で米国最高裁の判決が下されることへとつながります。この判決は、州がセラーに売上税を徴収するよう要求する際に、物理的存在の必要性を排除するものです。これにより、州に販売するだけで繋がりが生まれ、売上税を徴収する必要性が生じることになりました。
これはFBAセラーだけでなく、海外と国内のすべてのECセラーに影響を与えます。
そして今、皮肉にもAmazonはセラー情報を引き渡そうとしています。これは、セラーが受け取る重大な最後通告となる可能性があります。次に追従する州はどこでしょうか?カリフォルニア、マサチューセッツ、ロードアイランドなどの州はすべて、Amazonに対して第三者の情報を引き渡すよう強制していますが、これらの州における最も重要な点は、少なくとも当面は、Amazonに対して、セラーから売上税を徴収することを求めてはいないということです。そして、Amazonが売上税を徴収する場合でも、Amazonは将来における売上税の徴収責任しか負いません。一方、セラーは依然として過去の納税義務に縛られています。したがって、州に登録されていないセラーに対してAmazonが徴税を開始すると、州はそのセラーを認識し、その過去に一歩近づくことになるため、セラーにとってはここで事態が悪化する可能性が出てきます。
カリフォルニア州はどう動くか?
Michael J. Fleming & Associatesの考えでは、カリフォルニア州は、同州内にある倉庫に在庫を保有しているセラーに対して、過去最大6年間に遡って税の滞納分、延滞課税および/または利息を積極的に追及し続けると思われます。私がカリフォルニア州に持っている情報源によると、同州は過去18ヶ月間近くにわたり、ある種の「ウェブクロール」ソフトウェアを使用して、Amazonウェブサイトからデータを抜き取り、集金代行業者に引き渡しているそうです。その後、この業者は見つけられる限り多くの連絡先情報を州に提供しています。カリフォルニア州は、手紙を送ったり電話をかけたりする際に、この情報を利用しています。事実この活動は、2017年9月に同州が大量のメールを送信することで開始されました。
その手紙には基本的に「当州は、貴社がAmazon FBAプログラムを通じて販売していると確信できる根拠を得ており、このネクサスに関する質問に回答してください。」という内容が記載されています。もしセラーがすでに登録されている場合は、納税者番号さえ入力すれば、残りのフォームは記入せずに済みます。
登録されていないセラーは、質問の回答を求められました。多くのセラーは、その手紙とその後のフォローアップの手紙をすべて無視しました。州が保有しているセラー情報が完全ではない場合もありますが、効果は半々程度でした。しかし、カリフォルニア州で正確な情報を持たれていたセラーは、1年以上経った今になって再度手紙を受け取り、監査に引き渡されているとの声を聴くようになりました。カリフォルニア州が多くの情報の中から、集金代行業者が取得したのと同様に、連絡先情報とFEIN(連邦雇用主番号)のみを要求してきたことで、Michael J. Fleming & Associatesでは、今のところ、すべての情報には正確性があります。今度ばかりは、一旦カリフォルニア州がセラーを標的にしたら、誰も逃れることはできないと思われます。したがって、カリフォルニア州がこれまで通りであるなら、登録したセラーには納税者番号が付与されます。ここで心配しなければいけないのは、登録していないセラーです。
マサチューセッツ州では、1月の最終週にAmazonからのデータを受け取りましたが、それはセラーを追跡し始める約7ヶ月前でした。これを踏まえても、Michael J. Fleming & Associatesは、カリフォルニア州がこのデータをすぐに使い始めるとは考えていません。まずデータを分析して処理する必要があるのです。とはいえ、マサチューセッツ州とは異なり、カリフォルニア州はすでにシステムを導入してFBAセラーを積極的に追跡しているため、マサチューセッツ州よりもはるかに速くデータの使用を開始すると予想しています。この新しい情報により、カリフォルニア州は現在の作業をスピードアップし、強化していくでしょう。
リスク
カリフォルニア州に登録されていないセラーにとってのリスクは、マサチューセッツ州よりもはるかに大きくなります。第一に、州当たりの売上を見ると、一般的にカリフォルニア州がセラーにとっての最大の市場となります。売上高が大きくなるほど、納税額も大きくなります。第二に、倉庫が開設されてからの期間を比較すると、カリフォルニア州の方がマサチューセッツ州よりはるかに長期に渡ります。Amazonのカリフォルニア倉庫は2012年10月に初めてオープンしました。マサチューセッツ州の倉庫が最初にオープンしたのは、カリフォルニア州倉庫オープンの、およそ4年後の2016年10月のことです。これは、州がセラーを見つけた場合、セラーの在庫がAmazonの倉庫に最初に搬入された日に遡って、税の滞納分、延滞課税、利子を合わせて徴収することになるので、極めて重要なものです。したがって、カリフォルニア州ではさらに4年間分が対象になる可能性があります。第三に、カリフォルニア州にはマサチューセッツ州より多くの倉庫があります。また、マサチューセッツ州では、誰もが在庫を保有しているわけではありませんが、カリフォルニア州では事実上すべてのセラーが在庫を保有しています。
しかし、セラーの心配はカリフォルニア州だけとは限りません。売上税は国内外のセラーにとって極めて大きな問題であり、州は徴収にますます力を入れています。新年に向かうにつれて州はさらに毅然として、新たなエコノミック・ネクサスを強制するだけでなく、Amazon倉庫に在庫を持っているセラーに対して、何年も前の税の滞納分、延滞課税、および利子を追及することが考えられます。
自分を守るために何ができるか?
税の遡及を軽減するのに役立つプログラムがあります。ひとつは、自主的修正申告、あるいはVDAと呼ばれるプログラムです。このプログラムは、過去の滞納分を自主的に申告して将来を見越すことの報酬として、滞納分、延滞課税、および利子を軽減する処置です。VDAの欠点は、一般的に少なくとも3年間の滞納分と利息を支払う必要があることです。VDAは一部のセラーにとっては歓迎すべきものですが、すべてのセラーに適しているとは言えません。VDAは、州がセラーに連絡するよりも前に、セラーから申し出た場合にのみ有効です。もし先に州から連絡が来てしまえば、VDAは選択できません。他にも、税の遡及を軽減するのに役立つ選択肢と戦略があります。州から通知が来てしまって、機会を逸する前に、売上税の専門家に連絡して、あなたにとって最適な方法を話し合うことをお勧めします。何もせず、ただ課税されないことを祈るだけでは、戦略とは言えません。
Michael J. Fleming & Associatesについてもっと知りたい、あるいはご自分の状況について相談したい場合は、jhaggerty@salestaxandmore.com宛(担当:John Haggerty)まで連絡するか、当社のウェブサイトwww.salestaxandmore.comをご覧ください。
Mike(Michael J.Fleming)氏は、売上税を中心にビジネスを展開しているMichael J Fleming & Associatesの創設者です。この新しいベンチャー企業を始める前は、州と地方の税務問題を解決することに全面的に取り組んでいる会計事務所、Peisner Johnsonの取締役を約10年間務めていました。彼は州税に関して豊富な知識を有しており、特にEC、ネクサス、およびドロップシッピングについては、米国有数の見識者です。彼の文献は出版物に引用されることも多く、頻繁に講演を依頼されています。米国とカナダの課税制度に関する質問やお問い合わせをお待ちしています。Michael J. Fleming & Associatesでは、税務上のすべてのニーズに対するソリューションを提供しています。