皆さんは最近「SDGs」という言葉を目にしたり耳にしませんか?
これは国連が発表した「Sustainable Development Goals / 持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲット」から構成された国際目標です。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/about_sdgs_summary.pdf
環境汚染、地球温暖化、貧困、社会格差、核兵器、テロ、人権問題など、世界中の解決すべき社会課題の数々。それらを解決し持続可能なサステナブル社会を実現するために、各国政府はじめ、社会に大きく影響する民間企業の努力が必要とされています。
資本主義、自由競争の経済社会で、利益追及に走る経済活動の陰で積み上がった様々な社会問題。これからの企業活動には株主の利益だけを追い求めるのではなく、従業員やコミュニティ、環境や社会に対しても、等しく利益をもたらす事業活動を行うことが求められています。
日本でもCSR(社会的責任)を事業計画に組み込んで長年取り組んでいる会社もあります。
そして今こういった企業の社会的責任に取り組む動きに、共感し支持する消費者側の意識が若い世代に顕著に高まっています。溢れかえる情報と物の中からリアルとフェイクの判断をどうやってつけるのか?
消費社会の中で受け身の立場だった消費者が、自身の行動が社会に及ぼすインパクトになることを直接的に感じれるようになった世の中だからこその兆候とも言えます。
消費行動の判断基準に、品質と値段だけでなく、本当の価値を考えるようになった消費者意識の変化は、その価値を証明できる企業の動向にも影響をしています。
特にECビジネスのように、誰でもどこでも物が手に入る利便性を追及した仕組みでは、偽造品や偽造レビューによる消費者の判断を困惑させる事態が数多く起こりました。
こういった被害に対しAmazonは模倣品撲滅を2017年の主要目標に掲げ、偽物の阻止に向け大手ブランドメーカーと連携しブランド登録を促進しています。
他にも楽天では「EARTH MALL with Rakuten」を開設し、サステイナブルな事業活動を推進している企業や商品を楽天がキューレートして消費者に紹介しています
https://event.rakuten.co.jp/earthmall/about/?scid=s_kwo_2014test
EARTH MALL with Rakutenでは7つの認証(MSC認証、ASC認証、FSC認証、RSPO認証、国際フェアトレード認証、レインフォレスト・アライアンス認証、GOTS認証)を紹介しています。
こういった消費者の判断基準のガイドラインにもなり得る認証制度の中でも世界的に注目されているのが、B Corporation(以下、B Corp)です。アメリカの非営利団体「B Lab(ビーラボ)」による民間認証制度で、営利企業を対象とし認証された企業を、Certified B Corporationと呼んでいます。
B Labのビジョンは「すべての企業が世界最高の企業になることだけを競うのではなく、世界にとって最高の企業になることも競い、その結果、社会がより共有された持続的な繁栄を享受すること」です。
当初このビジョンに賛同して認証取得している企業や団体は、スタートアップやNPOが多く中小規模の企業が中心したが、今では、グローバルに事業展開をする大手企業の取得も目立ってきています。
2019年1月15日現在、Patagonia、、Ben & Jerry’s、 Kickstarter、ダノン、ユニリーバなど世界では60カ国、150の業種で2655社が認証されています。
アメリカだけでなく、ヨーロッパ各国、いくつかのアジアの国では認証を受ける企業が増えているのですが、現在日本でB Corp認証を受けている企業は、6社のみ。まだまだ、この B Corporationという言葉や概念の認知度も低いようです。
しかしここで注意しないといけないことは、これらの認証の中にも、一部の利権者のためだけに働いている可能性も考えられるということなのです。
「SDGsウォッシュ」SDGsを謳いながらも実態が伴っていないビジネスのことを揶揄する言葉が生まれているように、上辺だけのSDGs目標を広告に掲げ、イメージアップのためだけに取り組んでいるフリをしている場合もあるということです。
そこで重要になるのは発信される情報データの公平性と透明性であり、企業と消費者の双方が正直で正確なデータを共有できるかどうかが、これまで以上に重要になってきています。
本当に持続可能なビジネスを行う企業がきちんと評価される時代になってきているということを企業も消費者も認識することが大事でしょう。