市場動向

サービス系ECの可能性

サービス系ECの台頭

Eコマースはこれまで有形の商品を売る、物販目的のネットショップとして世の中に知られてきましたが、最近また新たな展開が見られます。これまでの有形の商品に無形のサービスを追加したもの、またサービスやレクチャーなど無形の商材のみをネット上で販売するサイトが数多く登場し利用されて始めています。
そのサービス例をジャンルごとで見ると、体験、オンライン講座、レンタルサービス、デジタル商品などがあり、物理的な物を販売しなくても ネット上で販売運営されています。
今回はその中で特徴的なビジネスアイデア追加型のECサイトを紹介します。

製品+レポート

https://www.23andme.com/
近年アメリカでも利用者が増えている、遺伝子情報検査キットとそのレポートを販売する会社です。2006年に設立された23andMeは、1年後にPersonal GenomeService®を開始しました。 23andMeのミッションは、人々が人間のゲノムにアクセスし、解読し、その恩恵を受けることを支援することです。
カリフォルニア州マウンテンビューに本拠を置く同社は、現在500人をはるかに超える従業員を擁し、世界50か国以上に製品を出荷して、そのデータを解読しレポートを届けています。
23andMeの研究プラットフォームは、現在遺伝子研究のための世界最大の同意を得たデータベースであり、病気の生物学的メカニズムのより良い理解につながり、人間の遺伝学を通じて新しい治療法の発見を研究目的としています。
アメリカでは自己の健康管理目的で、このような遺伝子情報の解読サービスを利用することもあれば、他にもhttps://www.familytreedna.com/など、自分のルーツや親戚に該当する人がいるかを探す目的で利用する人も多く、そのデータのマッチングサービスも盛んになっています。

商品+コンサルティング

これまでの商品にコンサルテーションサービスを追加した形が https://www.healthyhabitsliving.com/products/consultations です。
栄養サプリの販売するECサイトに、顧客の健康相談とそれぞれに合うサプリのコンサルテーションサービスを追加しています。
創業者のCarly Neubertは栄養士の資格をもち、ヘルスコーチとして別のサイトhttps://cleancoachcarly.com/で栄養学のオンライン講座のサービスも販売しています。

商品+体験

例えば、これまでもワインの小売会社がワインティスティングイベントを開催したり、ワイナリーツアーを企画して販売したりすることはありましたが、最近は製造元のワイナリーが自社サイトを通して直接顧客に「体験」を販売することが増えています。
“こういった流れに目をつけた「民泊」を認知させた仲介サービス会社Airbnbは、自社が展開する民泊サービスを旅全体へと拡大した「Trips」という構想を打ち出し、旅に関するさまざまなサービスを展開し始めました。
その1つがAirbnb Experience(体験)で、旅先の地域の人が自分のスキルや得意なことを「体験」として旅行者に提供することができるようになっています。2016年から日本でも徐々に普及してい
て、多くの外国人観光客に利用されています。https://www.airbnb.jp/s/experiences

まとめ

このように既存の商品に追加できるサービスもECで販売することができれば、顧客との距離感を近づけれるチャンスにもなります。消費者がどのショップで買っても大差はないという感覚になりがちなECマーケットの中で、消費者に選ばれるお店というのは、顧客のニーズに沿った付加価値サービスがどれだけ多く提供できているかに現れてくるでしょう。

Mitsutoshi Murata

株式会社プリンシプル 代表取締役 船井総合研究所WEBコンサルティングチーム コンサルタント、チームリーダーを経て、2013年、株式会社プリンシプルを設立。メンズの総合セレクトショップ フリースピリッツ立上げ。2014年より越境EC事業を開始し、2016年、越境ECが全体の売上構成比20%に成長