なぜこれまで誰もこのアイデアを形にできなかったのでしょうか?ついそう思わざるをえないような、ありそうでなかった、もしくは認知されていなかったオンラインレンタルビジネスがアメリカで浸透してきています。
今回ご紹介する2件のビジネスモデルは業種は違えど、既存の物を集めて、整理し、そして貸し出す仕組み(プラットフォーム)をオンライン上に創りました。そしてさらにそのレンタルビジネスをベースに今までにはなかったサービスを生み出している企業でもあります。
全米ですでに350万の会員に支持されているオンラインレンタルドレスビジネス。
男性がたまにしか着ないタキシードをレンタルすることはよくあることです。そして女性がウェディングドレスやパーティードレスをレンタルするためのレンタルビジネスも数多く存在します。
しかし女性にとっては普段着とパーティードレス以外にも、ちょっとお洒落を楽しみたい機会はたくさんあります。ただそういった機会に気軽に最新のデザイナーズブランドのドレスを楽しむためには、それなりの対価が伴うため、現実的には一部の富裕層の女性たちのステータスとされてきました。
そんな現状に疑問をもった当時ハーバードの学生だった女性2人が、もっと若い女性が気軽にお洒落を楽しめるようにと2009年に起業したのがRent the Runwayです。女性が大金を使って一枚のデザイナーズドレスを購入しなくても、会員登録をすることで定額でデザイナーズドレスがレンタルでき、だれもが気軽にドレスと一緒に、ハンドバッグとジュエリーなども借りてお洒落を楽しむことを可能にしました。
ウェブサイトでは、ドレスに合った適切なスパンクス(下着)、メイク、ヘアアクセサリーの提案もします。
同社はデザイナーズドレスをブランドから買い取りレンタルするだけでなく、ビジネスの長期的な実行可能性とキャッシュを確保するために、多くのデザイナーと提携しています。デザイナーズドレスをRent the Runwayのウェブサイトでレンタルできるようにする一方、それらを販売する別のプラットフォームを作成することを支援します。
デザイナーは最も人気があるスタイル、色、布などの顧客利用データや、ドレスがどのようにフィットしているか(またはしていないか)についてのRent the Runwayの顧客からのフィードバックを受け取れます。
同社は若く無名のデザイナーを擁し、他にはまねできないコレクションも展示しています。そのドレスのコレクションのいくつかはRent the Runway専用に作られており、同社ウェブサイトでのみ利用可能になっています。
同社の顧客は20代半ばの年齢層が最も多く、近い将来、購買力が高くなる潜在的な客層にアプ ローチができ、これまでのレンタルドレスのように1回だけの利用目的ではなく、ブランドのショウルーム的な役割もになっています。なおかつ、この世代の顧客がお洒落を楽しんでいる写真や動画をSNSに発信することでブランドの宣伝にも貢献しています。
このようにファッション全体の構成要素から特定のドレスの使用に関する指標まで、ビジネス全体を網羅できるデータを集め、その統計を把握するアナリティクスチームワークのもと、芸術と科学を掛け合わせた経営をしています。
Cheggは2003年設立当初は、アメリカの大学の高額なテキストブックを、学生たちが低価格でレンタルできるようにするスタートアップの会社でした。同様のプラットフォームを持つ会社は多数あった中、Cheggは他の学習サービスを提供する2社のスタートアップ企業を買収し、新しいサービスを統合することで学習プラットフォームとして他社と差別化を図りました。
その一つはCourse Rankが提供していたレビューサイトで、学生が専修するコースや教授に対する意見を交換できたり、ゼミのスケジュールや内容を把握するためのツールとして使うことができました。
もう一つはオンラインコミュニティサイトCramsterで、学生が宿題の問題を解決したり、さまざまな科目について質問に答えるのを互いに手助けすることができるものでした。これがのちにチューター(家庭教師)サービスにもつながりました。
いまや同社のサイト(https://www.chegg.com/)は学習プラットフォームとしてアメリカの学生に周知されています。
Cheggの使命は、教育投資の全体的な利益を改善し、学生が時間とお金を節約し、よりスマートになるように支援することしています。
これらの企業は、既存のサービスを集めて、選定しなおし、顧客にとってより充実したサービスをよりスマートなサービスにして届けます。その一方で、サービスを提供する側にもCRM(顧客関係管理)を向上するデーターが得れる仕組みを作っています。だからこそ企業と消費者の活発な経済活動が生まれ、支持されていくことにつながっているのだと考えられます。
越境ECにおいて配送と返送という2回になるレンタルというのは現状では難しいでしょう。ただレンタル自体は伸びていますし、物流や関税も越境が当たり前になるに従ってビジネスのポイントが変わる事があります。そこにいち早くアプローチできるように各国での伸びている業界や事例、そしてその理由を掴む練習は越境ECにおいて必須の取り組みになります。