経済関連のニュースをご覧になっている方、あるいはここ数週間で米ドルへまたは米ドルから両替を試みた方は、現在米ドルが異常なくらい強くなっていることにお気付きでしょう。主要6通貨に対する米ドルの強さを示す米ドルインデックスによると、ドルは20年ぶりの高値にあります。
さて、ドルは通常、後進国の通貨に対しては強いのですが、英ポンド、ユーロ、日本円などの先進国通貨と比較しても、これほど強くなるのは珍しいことです。9月上旬には、ドルは、対日本円で1ドル=140円台、対ユーロで1ドル=1.00ユーロ台、そして対英国ポンドでもほぼ同値という記録的な高値になりました。
経済学者は、今日のドル高には理由が大きく2つあると説明しています。理由の1つは、米国経済に対する人々の考え方を反映しているということです。米国は経済的に比較的安定しており、金利は高いものの一定です。現在、世界中で何百万人もの人が経験しているように、高いインフレ率と生活費の高騰という形で、経済に何らかの不確実性があるとき、人々は米ドルのような安定していて信頼できる通貨である、「安全な」資産を買う傾向があります。
もう1つの理由は、他の国々がエネルギー危機とマイナスの実質金利に見舞われ、景気が落ち込んでいることです。この経済不況により、自国通貨の価値が低下しているのです。
特に越境EC事業者、輸出入中小企業、そして、海外のサプライヤーや請負業者、その他ビジネスパートナーへ国際商取引での支払いを扱うあらゆる人にとって、ドル高は全世界に多くの経済的影響を及ぼしています。
ドル高がEコマースビジネスに与える影響は、商品をどこから調達し、どの市場で販売しているかによって異なります。ヨーロッパやアジアなどの地域から輸入し、米国で販売している場合、ドル高が売上増になる可能性があります。
これは、ドル高になると、米国に輸入される商品が相対的に安くなるためです。弱い通貨の国から米国に輸出するECセラーは、ドル高を利用して商品の価格を下げることができ、利用者の購買意欲を高めることができます。したがって、米国のプラットフォームで販売して米ドルの資金がある場合は、ドルの購買力がある今のうちに、在庫を増やしておくことをお勧めします。
一方、米国から商品を調達している場合や、米国製の商品を海外市場で販売している場合は、ドル高によってビジネスを成長させることが難しくなります。米ドル高になると、現地通貨での実質的な商品価格が高くなり、需要が低下します。そのため、AppleやProcter & Gambleといった米国に拠点を置くブランドは、現在売上を落としています。
結論を先に言うと、グローバルに事業を展開している場合や、海外の取引先と仕事をしている請負業者である場合は、入金をすぐに現地通貨に両替するのではなく、米ドルのまま確保しておくべきだ、ということです。
現地通貨ではなく、ドルで運用できることは、戦略的に財務利益となります。ドルで購入したものは、現地通貨で支払った場合よりも、相対的にコストが下がるからです。さらに、米ドルで入金を保有し、それを自社のサプライヤーへの支払いに充てることで、コスト削減を図ることができます。
米ドル建て口座に米ドルで支払いを受けることは、通常は大変なことです。そこで、Payoneerの複数通貨アカウントが役立ちます。
Payoneerでは、現地の銀行の米ドル建て口座と同様にご利用いただける現地米ドルアカウントをご用意できます。海外の取引先やグローバルマーケットプレイスからの報酬の受取りサービスを提供しています。
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