ファッション ノヴァ Fashion Novaを見聞きしたことはありますか?近年アメリカで人気が高まっているファッションECサイトで、毎週数百の新しいスタイルを販売し、アメリカのファストファッション業界を刺激し続けています。
Fashion Nova の顧客年齢層は16~35歳です。インスタグラムInstagramでは毎日ほぼ30分ごとに、若者が親しみやすい言葉や絵文字を多く使うなどのコミュニケーション方法で投稿やコメントがされ常に発信がされているといっても過言ではありません。
Fashion Novaは、Instagramのフィードに1300万人以上のフォロワーを擁し、#NovaBabesとして知られる3,000人のインフルエンサーを擁しています。
サンフランシスコのTribe Dynamicsによると、この会社は、2017年後半から2018年上半期にかけて、メディアの獲得価値、つまり投稿やソーシャルチャネルへの関与を通じて受け取った宣伝の価値を5,410万ドル増加させたと報告されています。Fashion Novaは短期間で圧倒的なInstagram広告手法を成功させています。
Fashion Novaのブランドコンセプトは「良いものをコピーする」ことです。これは文字通り、芸能人や有名人がSNSで取り上げている物や、彼らが着ているデザイナーズドレスや持ち物をチェックし、 Fashion Novaが 安価で購入できるよく似た商品 をFashion Novaバージョンとして販売します。
Fashion Novaの広告する商品の多くは、アメリカではKnock off(ノックオフ)と呼ばれるもので、それらは特許取得済み、商標付き、または著作権で保護されている製品のコピー商品、または機能的および質的に高価な材料または製品と同等の競争力のある材料または製品を意味します。
Fashion Novaが宣伝に使う広告の画像は、スターが実際にレッドカーペットなどでデザイナーズドレスを着用している写真に並べて、Fashion Novaバージョンを着ている一般モデルの画像を堂々と並べて投稿します。
そしてこの広告を見た一般女性が購入し、あこがれのスターと同じドレスを着てみた自身の写真を投稿します。そこにブランドと顧客間のコミュニケーションが発生しています。
このようにFashion Novaは、スターが着ているものを着たいと思う何百万人もの女性心理を掴みました。
さらにFashion Novaを際立たせた理由が、キラキラとしたボディスーツからピッタリフィットしたヒップハングドレスまで、洋服や物は着る人ののフレーム(体形)を際立たせるために役立つものと考え、細めファッションが常に存在するファッション性の高い世界とは異なり、Fashion Novaはより広い腰とより大きなお尻を持つ女性の間で支持者を見つけました。
2016年には、サイズが最大3倍のスタイルを持つプラスサイズのコレクションFashion Nova Curveを発表し、ブランドはさらに包括的になりました。
Fashion Novaは、服よりもむしろそのスタイルのスターは顧客であると考え、顧客にFashion Novaで購入した服を着用してInstagramに投稿する時に#NovaBabesや#NovaStarsとハッシュタグをつけて発信することを勧めています。
また人気のカーディービー(Cardie B )やカイリージェンナー(Kylie Jenner)に代表される実際のスターたちもFashion Novaの商品を着用してハッシュタグをつけてInstagramに投稿します。
Fashion Novaの代表Saghianはブランドを身に着けている彼ら自身の写真を投稿するために有名人に多額の広告料を支払っていると公言します。 Cardi Bは2018年にはFashion Novaとチームアップして初の自身のブランドラインを発表しました。そして販売発表数分で全て完売しています。
Fashion Nova の代表 Saghian は「最高の製品を最高の価格で提供し、それを迅速に顧客に提供することに焦点を合わせている限り、私たちは成長し続けると私は信じています。今の焦点はできるだけ多くの人をプラットフォームに参加させることです。 顧客の選択肢が多いほど優れていています。」とWWDインタビューで話しています。
またすべての顧客がインフルエンサーであることを繰り返し強調し、Fashion Novaがその#NovaBabesおよび#NovaStarsと形成したつながりが、あらゆるプラットフォームや有名人のトレンドを超えることができると信じているとも話しています。
Fashion Novaは、これまでの広告や販売形態がブランドから消費者へ向かって一方通行だった時代に、SNSを通して顧客のニーズを察知し、顧客と一緒にブランドを発信することに気づき取り組んできたことが、Instagramの普及で 結果につながったマーケティングモデルです。その発信のスピードと量は他の追随を許していません。
そしてこの流れを汲んでか、ここ数年、集客がよいファッションモールサイトに出店してきた 数々のアパレルブランドがモールでの販売をやめ、また変わろうとしていることが窺がわれます。日本でもここ1~2年、ブランドイメージの問題などから“脱・モールサイト依存”を模索するアパレルブランドがじわりと増えています。
圧倒的な集客力を誇るモールサイトに出店すれば売り上げ確保やブランドの認知度拡大を図れるため、多くのブランドはなかなかその依存から抜け出せません。
しかしFashion Novaのように自社サイトでの集客、販売比率を確保できるブランドは、もはやブランド価値を下げかねないファッションモールサイトから離れていっているのが現状です。またこれは消費者の興味の範囲がこれまでとは変わってきていることも表しています。
消費者はお気に入りのブランドを選んで購入するだけではなく、ブランドの価値を作り上げ、その価値をシェアすることを楽しんでいます。これはブランドにとっては非常に嬉しいことだと考えます。積極的に顧客とのコミュニケーションがとれるブランドが好まれ、その仕組みづくりがモール依存から脱却するためにも必要になってくると思われます。