市場動向

越境EC 2018総括 & 2019注目ポイント

皆さんにとって2018年はどのような1年でしたでしょうか?
想定通りだった!という方も、イマイチだったという方もいらっしゃると思います。

今回のコラムでは2019年越境ECビジネスを少しでも後押しできるよう、2018 & 2019 注目ポイントについて書いていきます。

内容を詰め込みましたので読了に10分程度かかります。お時間がある際、または分割して読んでいただけたらと思います。

【目次】
1 越境ECに起きた3つの変化
2 明確になってきた広告・プロモーション戦略
3 多様性が醸成されてきた販売チャネル
4 少しずつ見えてきたレギュレーション
5 まとめ

1. 越境ECに起きた3つの変化

越境EC市場にとって、2018年は大きな変化があった年でした。
市場全体として大きく3つの変化が見え、その変化により今後の戦略策定に大きく影響が出る1年でした。

主な変化は「広告プロモーション戦略、販売チャネル、レギュレーション」になります。ここが2019年の注目ポイントとなります。

例えば越境EC販売チャネルの選択肢増加は著しく、特に日本にいながら非常に多くのモールに出店が可能となりました。

今回のコラムでは、俯瞰した情勢把握と戦略策定に少しでも役に立つ記事を変化が大きいコンテンツに一部事例を記しながら書いていきますので、自分事化しながら読んで頂けたらと思います。

2. 明確になってきた広告、プロモーション戦略

越境EC開始にあたり非常に悩ましいのはプロモーション戦略があるかと思います。

まず始めに越境ECで必要な考え方は、どこで販売するかよりもプロモーション効果の効率性が高い販売先を中心に選択決定をする必要があるという事です。

というのも、2016年以前は、アマゾン広告にとりあえず出せば売れた、PPC広告をかければ売れたという事例が多く見られました。

しかし2017~2018年には費用対効果、市場の変化選択肢が多くなり、従来の代表的なウェブ広告戦略では厳しい状況になってきているといえます。
特に市場の変化が大きく、明確に属性別で売れるモールの差が出てきました。

そのため、商品特性を把握しどの越境ECモールに出店するかも大きなポイントです。
もっとも商品によっては越境ECモールでは相性そのものが良くないケースもあるので、そのあたりも考慮し販売方法を確定する必要があります。

このような前提条件がある中で、代表的な広告戦略としては、SNS広告、サイト内広告、インフルエンサー、PPC広告、クーポンサイト利用辺りが主流です。

そして、この広告手法で商品特性=正確な人種ターゲットによって販売方法を明確にすることが重要です。

例えば、美容関連商品で考えていきますね。

日本の美容品といえば、アジア系に人気が強いですね。売上構成データが見つからなかったのですが、ドラッグストアの多言語化された商品や中国系モールでの売れ筋をみると把握できるかと思います。

そこで、まず中国向けの越境ECに!という考えになることはもちろん妥当な戦略です。

しかし、既に多くの美容品が出展されておりレッドオーシャン化が否めません。販売に至るまでの経費も尋常でない経費が掛かることでしょう。

ではどのような考え方をすべきか。

中国人ターゲット=中国本土ECという考え方を捨てる

世界の中国人ネットワークは日本人が思っている以上につながっています。ほとんどの方がwechatでつながっており、どの国の中国人にハマっても中国本土まで伝わる可能性は大いにあります。

日本でもwechatの中でビジネスのほとんどが行われている事を見ても納得いく事でしょう。

例えば欧米で中国系に特化したECサイトがありますが、そこに出品を行っていく方法があります。中国本土のECほど大きな流通総額を誇るわけではないですが、数十億、数百億の市場のブルーオーシャンと考えたらよい戦略といえると思います。

売上が上がらないよりも、マーケティングを含めた売り上げを素早く上げていく方が次のステップへの良い材料となることでしょう。

ブルーオーシャンから攻めていき、レッドオーシャンへ参入していく事が得策といえます。基本的に越境ECは非常に多くの選択肢があります。そのため、どのポイントから攻めていくかを決定し効率的な拡販計画を立てることが重要です。

この点においては、SEOの考え方と同様ですね。

 

プロモーションの従来方法を多角的に行う

 

EC販売はネット広告、PPCが一般的ですが、越境ECでは前述の通り属性や人種によって戦略が様々です。

そのため、商品特性にあったターゲットにダイレクトに効率良くプロモーションを打つ必要があります。

例えば、東南アジア向けにはどのようなプロモーションが最適でしょうか。こちらは商品特性依存するため一般論として述べていきますね。

ここで調査すべきは東南アジアの市場感です。

まず挙げられる特徴は

  • 決済手段が希薄
  • 越境モール利用率が低い
  • 輸送手段が脆弱

その中で先行者利益を狙うためには、「SNS広告」「インフルエンサー」です。

東南アジアでの販売を見ていると決済手段が希薄といった点から越境ECモールが利用されないケースが多いです。クレジットカード普及率が低いためです。

これは先日現地タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンをマーケティング訪問した際に切実に感じたことでもあります。

【東南アジアにおける銀行口座・カード 保有率と携帯電話加入率】

そのため基本EC決済の多くはPayPalが多いところが特徴でSNS内でのインフルエンサーが宣伝販売を行い、都度PayPal決済のフローが多くなっております。
そのため越境ECモール取引でも代引きやコンビニ受け取りが非常に多いことが特徴です。

データがあるわけではないですが、個人的にアマゾンがまだ流行らない理由は決済にあると考えております。そのため東南アジアを攻めると決定した場合、SNSから集中的に戦略を練ることは一つ大きなポイントとなり、欧米や中国と比較し商品特性及びターゲット次第で戦略策定が全く異なる市場です。

3. 多様性が醸成されてきた販売チャネル

越境EC販売チャネルの多様性は販売者にとって良い情勢でもありますが、選択肢増加によるリソースの掛け処の悩みに関わってくると思います。

そういった中で販売チャネル選定の主なチェックポイントは、

  • 現地住所なく販売可能か否か
  • 自社リソースで対応可能か否か(言語、出荷体制、システム連携等)
  • オペレーション方法(システム一元管理可能か否か)
  • 輸送方法及びレギュレーション
  • 売上送金
  • 税金(関税及びその他税金)

具体的に言うと商品ページの仕組みもありますが、こちらは今回は割愛しますね、

そしてすべて網羅しても「取扱商品の需要」がどの程度あるのかを把握し出店を決定する必要があります。特に会社として規模感が大きなところほど悩ましい問題になってくることと思います。

もっとも、とりあえずやり始めよう!というスタンスも非常に重要で、リソースがクリアできそうであれば一度やってみることが大切です。

準備に時間をかけ、結局需要がなかったという結末で終わるよりはよっぽど良いでしょう。

そこで個人的に一部ですがまとめてみた表を掲示しますので、参考にしてみてください。

一部ピックアップして上記のチェックポイントを埋めていきますね。
※一部情報ピックアップのため詳細はご質問ください

<Cdiscount>
本社フランス。ヨーロッパ最大級のECモール。フランス国内では、アマゾンに次ぎ2番目の規模を誇るモール。

  • 現地住所なく販売可能か否か
    → 可能
  • 自社リソースで対応可能か否か(言語、出荷体制、システム連携等)
    → マイページは多言語だが、出品、CSは基本的にフランス語
  • オペレーション方法(システム一元管理可能か否か)
    → Cdiscount OPEN API保有
  • 輸送方法及びレギュレーション
    → フルフィルメント機能(FBC)を保有、エンドユーザー向け配送も可能
  • 売上送金
    → Payoneerにて可能
  • 税金(関税及びその他税金)
    → VAT登録が必要

<LAZADA>
本社シンガポール。「東のアマゾン」を念頭に掲げ、アマゾンを意識し構築された、東南アジア最大級のECモール。

  • 現地住所なく販売可能か否か
    → 可能
  • 自社リソースで対応可能か否か(言語、出荷体制、システム連携等)
    → 基本的に英語でのやり取りが多いが現地語でも一部有
  • オペレーション方法(システム一元管理可能か否か)
    → 一部AIPを保有しているが、機能していないことが多い
  • 輸送方法及びレギュレーション
    → ・エンドユーザー向け直送
    ・ラザダグローバルフルフィルメント(Fulfillment by Lazada)
    ・ラザダグローバル配送(LEX – Lazada Express)
  • 売上送金
    → Payoneerにて可能
  • 税金(関税及びその他税金)
    → VAT等々の登録必要は現状必要なし

<Alibaba(B2B – ワールドパスポート)>
本社中国。B2CのTmall、C2CのTaobaoも保有するアジア最大の越境ECモール。

  • 現地住所なく販売可能か否か
    → 可能
  • 自社リソースで対応可能か否か(言語、出荷体制、システム連携等)
    → 基本的にすべて英語対応。出荷は交渉により航空便、船便等。
  • オペレーション方法(システム一元管理可能か否か)
    → なし。APIは中国人現地セラーのみ利用可能
  • 輸送方法及びレギュレーション
    → 出荷は交渉により航空便、船便等。
  • 売上送金
    → バイヤーとの交渉で決定 (Payoneer可能な場合あり)
  • 税金(関税及びその他税金)
    → 販売契約及び各国に準ずる

<Amazon>
本社アメリカ。世界No1の ECモールなので、集客力は断トツです。

  • 現地住所なく販売可能か否か
    → 可能(一部の国は不可)
  • 自社リソースで対応可能か否か(言語、出荷体制、システム連携等)
    → 汎用性が高い。マイページは日本語も有。出荷はエンドユーザー直配送、フルフィルメント機能も充実。
  • オペレーション方法(システム一元管理可能か否か)
    → APIを幅広く保有
  • 輸送方法及びレギュレーション
    → 各国に準ずる
  • 売上送金
    → Payoneerで可能
  • 税金(関税及びその他税金)
    → 各国に準ずる

その他気になる点や興味ある方はご質問ください。

4. 少しずつ見えてきたレギュレーション

ともすると越境ECでは何が正しいのかわかりにくかったレギュレーション問題。

「商標」「法律」「税金」のグレーゾーンが少しずつ明示化されてきた事が、2018年の大きなポイントです。レギュレーションは今後の展開、戦略策定に大きく影響するため、既に販売を行っている方は常に注視すべきポイントとなります。

もっとも、現在でも全ての国が完璧な状態ではないですが、方向性が見えてきたことは非常に大きいです。

そのため、これから販売を始める方は、販売国事情を必ず事前確認しましょう。また既に販売を行っている方はこれからどのような動きになっていくのかを想定し、販売戦略を詰めていく必要があります。

実際どのような考え方をすればよいのか、わからない方もいると思うので、事例を出して説明をしていきますね。

商標に関して、販売している方は必ず事前に取得をするようにしていきましょう。
というのも、現在欧米アジア関係なく起こっている問題として、売上が上がってきた商品のブランド名や画像を第三者が取得し、利用できなくなるという状況が多く発生しております。
中国で言うと無印が有名なところですね。もちろん欧米でも同様事例が発生しているので、国際商標はある程度早いタイミングで取得することが必要です。

一方、卸購入で販売されている方は、別の対処が必要です。
特に越境モールでの販売の場合にメーカーからの許認可がないケースの問題です。

主力商品がいきなり売れなくなるだけでなく、アカウント自体が販売停止になるケースが増えてきております。そのため事前に防波堤を見つけておく必要があります。WIPO / Simple Searchのサイトで、商標登録コンテンツを確認することが可能です。

もう一つ、輸送面でのレギュレーション問題も厳格化が進んでいます。例えば各国に食品を輸入する際には法律があるケースがあります。

現在までは越境ECで販売したもの、販売するものを国際郵便、国際宅配便で送った際に問題なく配送ができるケースがほとんどでした。理由は個人利用と販売目的が輸送時に把握できるポイントが少なかったからです。個人利用の場合は問題ないケースでも、販売目的の商品となると状況が変わります。

特に海外Amazon向けであれば確実に販売目的になりますので、現地食品輸入の法律を把握する必要が出てきております。

輸送手順や禁止原材料やラベル貼付方法、対応可能なインポーターなどが主な要件となります。

こちらを確実に把握できる輸送業者にお願いしないと、強制返送対象になり、そして返送理由も確認できず、しかも輸送費を支払わなければならないといったケースも多く発生してきております。

この通り、今までグレーゾーンで出来ていたことがNGになってくるため、確実に対応している方には非常に有利な状況になってくるといえるでしょう。

次に税金に関しての有名所はUK、EUのVAT問題ですね。こちらは最近情報も多く出てきていますので割愛しますが、これから拡販されていく方は明確になっていますが、参入者がまだ少ないのでチャンスの市場といえます。

更に米国州税を含めた税金問題、中国の越境EC税の変化など様々な変化が起こっていますが方向性が明確になってきているので、今後は確実に対応し進めていく必要があります。

このような情報戦を制すれば、利益の先取りが可能です。

販売ベースとなるレギュレーション問題は販売方法が自社商品の方も、卸購入の方にも当てはまる非常に重要なポイントですね。

5. まとめ

この通り、2011年頃から始まった越境ECは年々様々な変化があり、積み上げにくいビジネスモデルになっています。

毎年どころか毎月の変化で戦略自体を練り直し続けている方も多いのではないでしょうか?ビジネスの土台を作るために必要な情報、視点を置くべきポイントが非常に重要です。

そのため過去の状況分析を行い、戦略策定を行うことが必要です。2019年はレギュレーション、販売チャネル、プロモーション戦略を重点的に深堀することが今後の展開に大きく左右すると考えています。

そういう意味では2018年は非常に良い分岐点になったと感じており、
ビジネスの土台である、インフラサイドの方向性が見えてきたことは非常に大きいですね。

俯瞰した市場分析で戦略を確定し、市場変化に伴い戦術を対応させてきた販売者が現在の成功を掴んでいます。

過去を学び、未来を見る。
変化を恐れず、挑戦を継続する。

見えないことが多い市場なので不安も多くあります。

一方で、越境ECはロマンも多く華麗なる一発逆転が発生する可能性も秘めている魅力的な市場です。

ビジネスは情報戦。
これがぴったりの市場で個人的には毎日刺激をもらい楽しませてもらってます。

Richard Clayton

Richard is the Head of Content at Payoneer. An accomplished marketing manager, Richard is passionate about thinking creatively to communicate effectively.