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進化するリテールテック

Mitsutoshi MurataMitsutoshi Murata
2019年6月3日

ウォルマートのリテールテック戦略

2019年4月25日 アメリカ小売業 大手ウォルマートがニューヨーク・ロングアイランドのレビットタウン地区のウォルマート・ネイバーフッドマーケットで行っている「インテリジェント・リテール・ラボ(IRL:Intelligent Retail Lab)」を公開しました。
4600平米もの巨大店舗には3万もの商品が配置されており、店内の天井には多数の人工知能搭載カメラとセンサーが設置されています。IRLでは売り場にセンサーやカメラ、プロセッサを導入しAI(人工知能)を利用した在庫管理分析などを研究しています。すべての通路や陳列棚の上に無数のカメラとセンサーが備え付けられており、リアルタイムで在庫状況をモニタリングできます。

これまでにも同社では オートSとよばれる スキャニングセンサーを搭載した AI(人工知能)ロボットや、小型ドローンの利用開発にも積極的に取り組んでいます。

オートSもドローンも自動運転で売り場内を動きまわり、欠品や在庫少、置き間違い、値段間違いなどを1つ1つチェックし、そのデータ収集した在庫データはクラウドに送られAI解析し、管理者にアラートやリコメンドを提供します。

このように小売業(リテール)で活用されているテクノロジーをリテールテックと呼び、その動きに注目が集まっています。

参照元:https://news.walmart.com/2019/04/25/walmarts-new-intelligent-retail-lab-shows-a-glimpse-into-the-future-of-retail-irl

アマゾンとウォルマートの目指すところの違い

人工知能を活用したスマートリテール店舗としては、アマゾンが展開するレジなしコンビニ「AmazonGo」が先行しており、既にアメリカ国内で10店舗オープンさせています。

どちらもテクノロジーを小売業に導入するために研究開発を強化していることは同じですが、その人工知能カメラの見つめる先は違います。

AmazonGoでは店舗に配置されたカメラで顧客に向け、 購買行動 テクノロジーでアシストし、レジを通らなくてもいいスマート決済を実現しています。

その一方でウォルマートのカメラは在庫管理に向けられています。テクノロジーを導入することで大量な商品の賞味期限の確認や補充などをさらに効率よく充実していくことに注力されています。

リテールテックによる消費行動の変化

これまでにもリテールテックは、さまざまなサービスや業務改善に活用されて進化しています。アプリを導入したスマホを商品にかざすだけで他店との値段比較ができるサービスが開発されたことが遠い昔のことのように、Eコマースの凌駕によってその進化のスピードもスケールもどんどんアップしています。

国内国外、オンラインオフライン、いつでもどこでも買い物ができて、翌日もしくは数日中に商品が自宅に届ことは、もはや当たり前。財布を持たずともスマホがあれば買い物ができて、クーポン利用やポイント利用もすべてスマホ一つで管理。さらには商品の再購入をおすすめする広告が的確な時期に配信されて、おまけにオススメの商品までお知らせします。
もはや当たり前に利用されているリテールテックのおかげで 利便性が高まり、消費行動は大きく変化しました。

顧客満足度とリテールテック

では「顧客満足度アップ」のためにさまざまなサービスを提供する私たち小売業者にとって、リテールテックを活用することで業務の利便性が高まり、従業者の生産性は高まることにつながっているでしょうか?

販売先や決済方法が増えて在庫管理が複雑になっていたり、メール配信やサイトの更新業務に時間がとられていませんか?とりあえず 集めてみた顧客データを分析しAI技術を活用してマーケティング戦略に活かせているでしょうか?

これまで「顧客満足アップ」と取り組んできたリテールテックは果たして本当に顧客に満足してもらえる成果を挙げているでしょうか?「利便性」「スピード」「選択肢」を追求するあまり、配送方法や決済方法の選択肢が広がりすぎて、従業員の顧客対応が混乱することになっていたりしませんか?

これからもさらにリテールテックは進化していき、新しいサービスがどんどん作りだされると思います。ここで見直されるべきは、本当に顧客の満足する商品やサービスを把握し、そして自信をもってそれらを届けることができているかということです。

Petcoの本当の意味での顧客満足度アップ

アメリカ大手ペット関連商品小売業者のPetcoはいち早くこの「本当の意味での顧客満足度アップ」の風潮に気づいてか、犬や猫のための人工的な色、風味、保存料を含む食品やおやつを販売しないという2018年11月の約束を正式に承認しました。

そして 2019年5月1日現在、Petcoは全国1,500以上の小売店とオンラインショップで、その栄養基準を満たさないドッグフードおよびキャットフードを排除することによって、ペットの健康を害する恐れのある成分を含むペットフードを販売することに対抗することを発表しました。

https://about.petco.com/2019-05-01-ALL-CLEAR-Petco-Completes-Promise-to-Clear-Shelves-and-Site-of-Artificial-Ingredients-for-Dogs-and-Cats-by-May-2019

そしてそのイメージを定着させるためにも、多くのペット愛好家に支持されているペットフードキッチンを展開する Just food for dogsとパートナーに選び、実店舗での顧客サービスの充実に乗り出しました。

まとめ

このように一方でリテールテックが進化していく中、その技術を使って顧客に自信を持って届けたいものはいったい何なのかを問い直し、上手に活用していくことがこれからはもっと大事になってくるでしょう。

小売業界の中でも「便利」を求め、それが満たされると、「大事な何か」を求めだしている傾向があるように思えます。そしてその多くは共通の価値観やコミュニティーに由来するのかもしれません。

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