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購買意欲をかき立てるマーケティング

Richard ClaytonRichard Clayton
2016年11月18日

目的の商品の選択をする際、さらにいえば、何かを買おうとした時の動機は何でしょうか?

Zig Ziglarが示している答えは、いたってシンプル!「人々が買い物をするのは論理的な理由ではなく、感情的な理由からです。」

この意見にどれだけ異論を唱えようとも、実際に購入の意思決定は合理的な選択ではなく、予測不能な人間の感情に大きく左右するものです。Psychology Todayの「How We Convince Ourselves to Buy Products We Don’t Need」(不要な買い物を必要な買い物と思うには?)では、次のように書かれています。「どのような論理的、合理的な思考も、強い感情には勝てません。なぜなら、感情で満たされた心は、常に説得力のある言い訳を思いつくからです。」

つまり、感情からうまれるショッピングの意欲を活用すれば、マーケターにとって、勝ったも同然です。ところで、感情からうまれるショッピングとは、正確にはどのようなものなのでしょうか?Eセラーがそれを活用するにはどうしたらよいのでしょう?そして、消費者を動かす最大の感情とは何なのでしょうか?

感情からうまれるショッピングを科学的に理解する

合理的な解析のみに基づいてショッピングの意思決定をすることは可能でしょうか?不可能とは言えませんが、そういう意思決定をすることはまずないでしょう。1994年、神経科学者のアントニオ・ダマシオ氏は『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』(原題: Descartes’ Error:Emotion, Reason and the Human Brain)という本を出版しました。この本は、脳が損傷を受けたために感情が失われた人達のケーススタディを集めたものです。

ダマシオ氏は、感情を失うことにより、意思決定が困難になることを発見しました。合理的な思考を司る脳の部分は問題なくても、感情を処理できなくなったことで、彼らは自分に与えられた選択肢について何も感じなくなってしまいました。感情が完全に排除されたことで、意思決定が非常に難しくなったのです。

これは、人間の脳が、意思決定を行う際には、感情を使用するように作られていることを示しています。もちろん、脳は合理的な思考が可能です。つまり、ショッピングの意思決定には、感情と合理的思考の両方が関与していると言えます。ではどちらの方が強いのでしょうか?

購入の意思決定においては、論理的、合理的な思考よりも感情の方が大きな役割を果たすという証拠があります。何故でしょう?Psychology Todayの『How Emotions Influence What We Buy』(感情は買い物の意思決定にどのように影響するか)では、次の観察結果を述べています。「消費者にとって、感情が持つ最も重要な要素は、感情がアクションの引き金になるということでしょう。感情が湧き起こると、人間は無意識に何らかのアクションを実行します。たとえば何かに襲われたときには、自分を守るために『戦うか、逃げるか』の選択をします。この際の意思決定を司るのは恐怖という感情です。もっと身近な例えでは、自信喪失が引き金となって、肯定的な自我をサポートするため、最新のiPhoneを購入するという行為を引き起こすかも知れません。」

つまり、ショッピングをする時に、脳の感情を司る部分(大脳辺縁系)が合理的思考を司る部分(大脳新皮質)をショートさせ、バイヤーが与えられた選択肢に対して論理的ではなく感情的に反応してしまうことがある、ということなのです。

バイヤーに影響する主要な感情要素

すべての感情はアクションを引き起こすことがありますが、すべての感情が等しい影響力を持っているというわけではありません。一般に、反応を生み出すのに最も効果のある感情は5つだと言われています。それらは次の通りです。

  • 恐怖
  • 罪悪感
  • 自尊心
  • 貪欲
  • 愛情

マーケターがこれら5つの感情を利用して購入の意思決定を促進するにはどうしたらよいでしょうか?次の例を考えてみましょう。あるオムツメーカーが、競合商品よりも高価なオムツを売り込みたいと考えています。合理的に考えれば、競合他社のオムツと機能が同じであれば、母親は安い方を買うでしょう。

ここで感情が関与すると何が起きるのでしょうか?高価なオムツはより環境に優しいとアピールします。すると母親の中に罪悪感が芽生え、環境への影響が少ないオムツを選ぶのです。

あるいは、高価なオムツは赤ちゃんにとってより快適である、もしくはオムツかぶれが少ないとアピールします。すると今度は、赤ちゃんの肌の安全に対する恐れや、赤ちゃんへの愛情という感情によって、高価なオムツを選ぶことになります。また、良い母親であるという自尊心も影響するかも知れません。これらの些細な感情の要素が集まったとき、母親はふと高い商品を買う方が合理的な判断だと思い始めるのです。

この感情的な反応を引き起こすためには、自社のオムツがより環境に優しく、オムツかぶれを防ぎ、赤ちゃんにとって快適であるということをあからさまに主張する必要はありません。もっとシンプルに、たとえば緑の葉の絵、ローションのような水滴のイメージ、またはオムツ内部の素材の拡大画像などをラベルに示しておくだけで、こちらが望む感情的反応を引き起こすことができます。

好感度の要素を考える

最近の『BigCommerce』の記事において、好感度がマーケティングの成功への重要な要素であると指摘されています。この記事では、広告が記憶に残るかどうかの要因の80%は、好感度に関連することを発見した2005年の雑誌広告調査に言及しています。

「マーケティングメッセージの好感度が高いほど記憶に残りやすい」ということですが、広告が記憶に残るほど、ターゲットとする顧客の頭や心にはブランドメッセージが深く刻まれます。顧客の心にプラスの感情を引き起こせば、強力な関係を築くことができます。面白いことに、最初はマイナスの反応を引き起こした広告であっても、最終的にプラスの感情を引き起こすことに成功すれば、単なる合理的な思考に訴えるだけの広告よりも顧客の心に残ることが分かっています。

購買意欲をかきたてるためにEセラーができること

好感度の要素を強化して、感情からうまれるショッピングの反応を引き起こすために、Eセラーは何をしたらよいのでしょうか?その方法はいくつかあります。たとえば、多くのEセラーは、マーケティングメッセージにユーモアを取り入れることが有効だということを発見しています。しかし、世界規模のマーケットプレイスでは、文化の違いからユーモアが正しく伝わらないこともあるため、注意が必要です。ユーモアを取り入れる場合には、顧客を楽しませることと顧客を侮辱してしまうことの間で、紙一重の所を行かなければなりません。

ブランドの好感度を向上させるには、ストーリー性をもたせることも有効です。人は小さい頃から物語が好きです。顧客に対して一貫したストーリーを発信することで、オーディエンスの頭と心の中にブランドイメージを定着させることができます。

また、言葉の選択は特に重要です。コピーに含まれるひと言ひと言が顧客にどのように影響するのかをよく考えてください。選んだ言葉は共感を呼びますか?あるいは顧客の心に突き刺さりますか?微妙な言葉使いの違いでも、コピーの雰囲気をがらりと変えてしまうことがあります。たとえば、ウェブサイトのCTA(Call to Action:行動喚起)を考えたとき、「こちらをクリック」と「商品Xをいますぐ手に入れましょう」のどちらが成功すると思いますか?

イメージの活用も重要です。たとえば、文章中のイメージ(暗喩や直喩)は理解されやすく、感情的反応を呼び起こします。その他に、視覚的なイメージもあります。イメージが鮮やかで活き活きとしていれば、バイヤーの感情的反応をさらに大きく膨らませられるでしょう。

しかしながら、鮮やかなイメージだけでは不十分です。たとえば、息を呑むような美しい映像と、感情を揺さぶるような音楽を使ったCMなのに、肝心の商品が何なのか分からなかった…という経験はありませんか?このようなCMは、明確さも重要であるということの例です。

あなたのマーケティングコピーは、メッセージを明確に伝えていますか?プラスの反応を呼び起こしますか?コンテンツの各ピースは全体的なブランドメッセージに明確に繋がっていますか?すべての答えが「イエス」であれば、感情からうまれる購買意欲を引き起こすのに効果的なコンテンツであると言えます。

親近感が売上を促進する

感情からうまれるショッピングのマーケティングにおいて、密接に関連しているもう一つの要素は親近感です。「親しさが軽蔑を生む」という諺がありますが、マーケティングの世界ではそうではありません。すべてが常に変化を続けるグローバルマーケットプレイスでは、慣れ親しんだ一貫したブランドメッセージは、消費者にとってある種の安心感を与えます。

B2Cの「Marketing and the Familiarity Principle」(マーケティングと親近感の原理)では、次のように説明しています。「親しみやすさの原理とは、人間はよく目にする物を好むようになるという傾向のことです。簡単に言えば、最も広く知られたブランドが勝つということです。この傾向は消費者の間でも根強く、たとえブランドや商品について何も知らなくても、さらには知名度の高いブランドが一緒に売られている知名度の低いブランドよりも品質が悪くても、消費者は最も慣れ親しんだブランドを選ぶのです。」

親しみやすさは消費者を安心させるため、プラスの感情的反応を引き起こします。そこにユーモアや優れたストーリーといった意外性をほんの少しだけ添えれば、その感情はさらに強くなります。こうして商品が売れていくのです。

マーケティングのワンツーパンチ:感情と論理の組み合わせ

マーケティングにおいて強力な感情的反応を呼び起こすことは、ブランドを象徴化して、消費者がブランドメッセージに耳を傾けるようになるための手助けとなります。しかし、ほとんどの消費者は、自分の意思決定が論理的かつ合理的に行われたと信じたがるものです。

そこで、消費者が購入の意思決定を合理的に行ったと信じさせるための手段を提供することが重要です。ケーススタディやユーザーレビューなど、購入の意思決定を後押しするような情報をマーケティングコンテンツに追加しておくのも一つの手です。消費者が「拠り所にする」情報を用意しておくことで、感情に流されないバイヤーであっても、購入の意思決定へと進ませることができます。インターネットに通じた消費者の感情に訴えるためには、ソーシャルプルーフの活用も重要になりつつあります。

すべてを試す

購入の意思決定において、感情が果たす重要な役割を理解したら、消費者のプラスの感情的反応を呼び起こすことに集中しましょう。優れたストーリー手法や、ビジュアル効果を活用したり、親しみやすい一貫したブランドメッセージを発信したり、マーケティングキャンペーンにソーシャルプルーフを組み込んだりすることで、感情からうまれるショッピングに導けるよう、バイヤーを刺激します。

特に海外でマーケティングを展開する場合には、感情に訴えることで、競争に打ち勝つことができるでしょう。

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